陰の極みに

12月といえば子の月。そして冬至があります。冬至はご存知の通り、一年で一番、昼が短く、夜の長い日です。風水の暦は、この冬至と夏至を基準に割り出した二十四節気暦を使うので、季節の移り変わりと生命ある物の消長を見るのに、とっても正確で便利なのです。

子(ね)とは、風水学では、次のような意味あいを持っています。
方位=北
物質=水、氷
季節=冬
性質=思考、孤独、研究、悩み、創始…

このように、子と言うと、とてもマイナーなイメージのことばかり浮かぶのですが、やはり一年で一番長い夜だということは、この日は陰の極み。
と言うと、いかにも良くなさそうな感じもしますが、実は陰の極みは、ものごとの始まりでもあります。
一番下に落ちきったら、後は上がるしかありません。それで、子の性質には「創始」という意味が入っているのですね。

それは分かったけど、何で冬至にかぼちゃを食べる習慣があるのでしょう。
これは意外と奥の深い(?)理屈で、陰陽の性質を知らないと分かりません。

かぼちゃは漢字で書くと「南瓜」(なんきん)
50音の中で「ん」の音は一番最後に来ます。そのうえ「ん」だけでは単語にならないし、頭音に使うことも出来ません。必ず他のものに添えて使われる音で、いわばどん尻の陰の極みの音です。
その為、「ん」のつくものを冬至に食べて運気アップを狙おう、というのが、かぼちゃを食べはじめた理由だそうです。

少しこじつけっぽい気もしますが、陰陽の基本を押さえていないと理解できない話なので、なかなか味わい深いものがあります。

この理屈からすると、かぼちゃでなくても、「ん」のつくもの、陰の極みを意味する食品ならば、冬至に食べてオッケー、だそうです。
だいこん、にんじん、れんこん、うどん、ぎんなん、きんかん…など、いろいろありますね。どれも体に良さそうです。
でも太陽の光を燦々と浴びて育つきんかんよりも、地中に埋まっている大根、人参などの根菜のほうが、陰性が強そうな気がします。更に、根菜であってしかも泥沼で育った蓮根なんて、まさに陰の極みという感じです。

「陰の極み」は、陰の気がきわまって陽にかえるという意味で、一陽来復とも言います。冬来たりなば、春遠からじ、というところです。
そういうわけで、今年の冬至は蓮根料理で英気を養いつつ、運命の春を待つのも乙なもの。

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