★☆★ フィジーレポート ★☆★


文と写真・すばる



3度目のフィジーに行って来ました。
フィジーのイメージというと、やはり「南国のビーチリゾート」ですよね。私の場合も、1度目と2度目は日本語デスクのある離島のリゾートホテルに行き、言葉の違いで緊張することもなく、自然の残されたホテルの中で、気持ちよくのんびり過ごすというものでした。
離島なだけあって白砂のビーチは輝くような美しさ、シュノーケリングだけでも充分楽しめる素晴らしい珊瑚の蒼い海、そして充実したマリンアクティビティ。ホテルのスタッフもとても大らかでフレンドリー。思い描くビーチリゾートの全てがそこにありました。

浜辺にて

それですっかりフィジーが気に入った私は、吉方位になったのをこれ幸いと3度目のフィジー旅行に行くことにしました。今回もこれまでと同じく、自然に恵まれた大らかなフィジーでのんびりとしたバカンスを過ごすことが出来たのですが、それ以外にも今回はフィジー本島に宿を取ったので、普通のフィジアンの暮らしやビーチリゾートとはひと味違ったフィジーの姿を見られたことが、自分にとっては大きな収穫でした。

さて、フィジーには、2系統のフィジアンがいるのをご存じですか?
もともとフィジーに住んでいたフィジアン(ここではネイティブと呼ばせていただきます)と、イギリスの植民地時代にサトウキビプランテーションの働き手として大量に連れてこられたインド系フィジアン(インディオと呼ばせていただきます)が、ほぼ半々に暮らしているんです。
他にも華僑やアラブ系の人、日本人などがそれぞれごく少数住んでいます。イギリス連邦という割には、欧米系の住民はほとんどいません。それで、今回はっきり気付いたのは、この2系統のフィジアンはかなりはっきりと区別されているというか、棲み分けがなされているという事です。
以前の訪問から気にはなっていたのですが、空港職員やお土産屋、お店の店員さんなど、お給料で暮らしているような職種には圧倒的にインド系が多いんです。私の印象では9割以上がインディオで占められているのではないでしょうか。また、ホテルの従業員にしても、インド系が多いホテルとネイティブが多いところに別れてしまうようです。一緒に働いていたとしても、職種で系統がガラリと違います。
ホテルの顔となるような職種・・・ドアマンやオフィサーはインド系、縁の下の力持ち的な仕事・・・ルームキーパーや警備員はネイティブという区別です。


市場を歩けば・・・

街の市場

市場を散策しても、屋根のついている場所はインディオのテリトリーで、ここにはきちんと台があり、品物はそこに陳列され、店主は椅子に座って客を待ちます。屋根付きの場所をぐるりと取り囲むように道があり、そこは青空市場として利用されているのですが、こちらはネイティブの領域で、棒に括った布で日除けがされ、品物は布をひいた地面に置かれ、店主も地面に腰掛けて客を待ちます。
私は今回、ナンディとシガトカという遠く離れた2つの街の市場に行く機会がありましたが、そのいずれも同じでした。そして、私たちが通りかかったときの反応も対照的で、ネイティブはぽーっと目で追うだけ、店の前で立ち止まっても旅行者にはあまり興味がない様子(ネイティブの愛想が悪いというわけではありません。車で通りかかっただけでもニコニコして手を振ってくれるのはネイティブばかりです)。
インディオは必ず声を掛け、寄ってきます。もちろん、呼びかけが日本語であることも珍しくありませんし、旅行者への客引きはかなり強引です。
とにかくあらゆる場面で商売上手なインディオと、おっとりのんびりしたネイティブという気質の違いが感じられました。

それにしても、私はなんだか日本タンポポと西洋タンポポ、鮒とブラックバスを想像してしまいます。人間が手を入れた場所では、人間でも植物でも動物でも、在来種より帰化種の方が適応しやすいのでしょうか(失礼な表現で済みません)。もちろん、私たちが口を出せるような問題ではありませんから、「たまーにクーデター騒ぎなんか起きるけど、それでも私たちは上手くやっているよ。(ツアーガイド談)」と言われれば納得するしかありません。
彼らの生活の中でネイティブのコミュニティーとインディオのコミュニティーが、私たちの想像以上にはっきりと別れているということなのでしょう。でも私にとっては大好きな国だからこそ、なんだか少々複雑な気持ちになってしまいました。

生活の違いは、2系統のフィジアンのあいだにだけではなく、ネイティブのあいだにもあります。今回の旅行中、私は2つの(ネイティブの)フィジアンビレッジを訪問する機会に恵まれました。初めて行ったのは旅行そのものに組み込まれていた半日観光で向かったナンディにほど近い村、もう一つは川をボートで遡上して訪問した、首都スバにほど近いナブア川上流のフィジアンの村です。

最初に訪ねた村は、村長さんの家と教会、そしてお客を通す小屋はコンクリートや煉瓦造りでしっかりとした建物でしたが、ほとんどの家はトタンで出来た掘っ建て小屋です(失礼・・・)。
ここでネイティブフィジアンの暮らしについて説明を受けたのですが、車を持っているのはお金持ちの家で、そこで維持費を負担しますが事実上は村全体の持ち物扱いだそう。ネイティブフィジアンには「シェア」という意識が強くあり、どこかの家の木の実でも、借りることはもらうことと同じであり、事実上は村の公共の場にあるものはみんなの共有財産なんですね(借りた返さない、足を踏んだ踏まないで刃傷沙汰にもなるどこかの国とは大違いです)。
また、家から家へと繋がる道は「人が通るから草が生えない」程度のもので、ちょうど朝方に雨だったこともありぬかるみのようでした。この村の人々の反応から、半日観光に組み入れられている村にしてはあまり旅行者の訪問を受けていないような印象を持ちました。きっと朝早くからいきなり見知らぬ旅行者に村中を練り歩かれて迷惑だったことでしょう。
行く前から、「どうせ観光用の見せ物村でしょ」なんて思っていた自分を深く反省しました。さらに、フィジアンが普通の暮らしを営んでいるところにズカズカと入り込んでいる居心地の悪さ・・・居丈高な態度を取ったつもりはないけれど、笑顔で「ブラ!!」って言ってくれた村の人達の目に、私たちはどう映っていたのでしょうか・・・。

大自然の中で ナブア川をゆく

次に私が村を訪問することになったナブア川リバーツアーは、特に案内もないままただひたすらボートに乗って上流のビレッジを目指し、そこで歓迎の儀式を受けてお昼を食べ、フィジアンダンスを鑑賞してから帰るというものでした。川風は爽やかで心地よく、川沿いの緑深い森の景色はビーチとはまた違った魅力に満ちていて、宮崎アニメの「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」に出てくる森を思い出しました(貧弱な想像力だこと・・・とほほ)。私の語彙力ではその迫力をお伝えすることが出来かねますので、フィジーにいらした際には内陸の方にもぜひ行ってみてください。


作戦決行!

さて、リバーツアーで訪れた村は、私の想像していたよりずっと小綺麗で観光化された場所でした。はじめの村と違い、村内の道は小石とコンクリートで舗装され、村全体は芝で整えられており整然とした印象です。観光ツアーに組み込まれた村と、たまに頼まれると旅行客を受け入れる村のギャップなんでしょうか。昼食の後には「お土産物即売会」までセッティングされており、何とも言えない違和感を感じながら、私はある作戦を実行すべく即売会を抜け出しました。

フィジアンの村で

作戦というのは・・・リバーツアーで村を訪問するにあたり、初回のフィジアンビレッジでの反省を踏まえて自分なりにフィジアンと交流を持つ方法を考えました。お恥ずかしながら私は英語が話せません。言っていることが少々分かる程度の貧弱な英語力で現地の村人と言葉だけのコミュニケーションを取るのは全く自信がありません。そこで思いついたのが、日本から持ってきていたミニタイプのポラロイドカメラ「チェキ」です。村の子供達にその場で見られる写真をプレゼントしたら仲良くなれるんじゃないかと画策したわけです。
それはまぁ成功したのですが・・・残念なことに、子供を撮っていたら大人がわいわい寄ってきて、あちらこちらで撮ってくれ撮ってくれの大合唱。結局、シャイな子供達は横に押しのけられ、大人達の大撮影会になってしまいました(フォーチルドレン!!という私の叫びは全然聞いてもらえませんでした・・・)。

子供とお喋りが出来たのは帰り際、子供達みんなでボートまで見送りに来てくれた道すがらでした。大人達に遠慮して傍に来られなかったようで、仲良くなれるのはこれからなのに〜!!・・・と大変名残惜しかったです。「チェキ作戦」は、村人に喜んでもらえて嬉しかった反面、「もので喜んでもらう」ことしか出来ない自分が虚しく、「援助だったら、物とかお金とか送っとけばそれでいいでしょ」っていうニッポンの代表選手のようで、とても悲しかった。
「また来てね!!」と言ってくれたその言葉は私に向けられていたのか、それとも「チェキを持った私」に向けられていたのか・・・。

フィジーにとってニュージーランドと日本は、観光客の多さでも援助金の多さでも他国を抜きん出ているそうです。私が参加した現地ツアーは英語ガイドだったためか日本人にはほとんど会いませんでしたが、日本語ガイドのいるホテルやツアーでは半数以上が日本人です。私が乗った日本−フィジー直行便は行きも帰りもほぼ満席でした。
フィジーを走る車のほとんどは日本製で、トヨタ車とミツビシ車の圧倒的な多さは目を見張るものがあります。電化製品もほとんどが日本製で、私が泊まったホテルのテレビもコーヒーメーカーも日本のメーカーの物でした。街の中古屋で売られていた電化製品も、8割方が日本メーカーの物です。また、観光ツアーに使われていたバスのいくつかが日本の観光バスの払い出しで、車内の日本語表示がそのままの状態で使われていました。でもなぜ、車内表示を英語にしてから渡せないんでしょう?
こういう話もあります。日本のODAで障害者用のスクールバスが送られたそうですが、肝心の障害者の学校は資金難で開校の見込みが立っておらず、現地に在住の日本人がボランティアで募金・資金源の古着を募っているというのです。この話を聞いて、身体の力が抜けたのは私だけではないでしょう。

また、フィジアン(特にネイティブ)はなぜか日本人を好いてくれる人が多いです。日本人はお金持ちだから・・・というだけでなく、どうも本質的に日本人に好感を持ってくれているようです。「日本から来たのか、遠いところからよく来たねー!!」という科白を旅行中に何度も言われましたし、フィジアンとダンスを踊るイベントでも、とにかく真っ先に日本人である私に突進してきます。私がノリノリで目立つから・・・というだけでもないでしょう(笑)。
フィジアンも日本人も、基本的にシャイで照れ屋さんだという性質に親しみを感じるのでしょうか。それとも、やっぱり同じ「COLORD」だからでしょうか。よく思い出してみると、フィジアンビレッジに行ったとき、参加していた白人さん達はせっかく英語ができるのに話しかけるのはガイドさんに対してばっかりで、村の住人に直接話しかけている様子はほとんど見られなかったです。
ホテルでは「ハーイ」と挨拶するのがマナーのはずの欧米系ゲストが、街中に出たとたんにぶっきらぼうに見えたのは私の気のせいでしょうか・・・?!


考えてしまうこと

人と自然と。再会を願って・・・

私はフィジーに旅行に行きます。フィジーの豊かな自然と、大らかで明るいフィジアンの笑顔、その暖かいホスピタリティーにどんなにか癒されていることでしょう!!
私はフィジーに旅行に行きます。でも私がフィジーから与えてもらっている大切な何かに対して、私は充分に応えられているか・・・否。全然足りないぞ!!
今の私はフィジーに贈り物を貰うばかりで、どんなふうに恩返しをすればいいか分かりません。でも、今回の旅行を契機に、単に物やお金というのではなく、それ以外の「何か」で私の大好きなフィジーと繋がりをもてるように、ゆっくり考えてみたいと思っています。

旅行ガイドブックに載っているように、いやそれ以上に、フィジーは本当に素敵なところです。私のレポートは観光案内に載っていないようなことを必死に選んで書いただけで、本当はこんなお堅いことを考えたのはホンの少しで、滞在中はフィジーをバッチリ満喫してきました♪
珊瑚礁のビーチでお昼寝とか、ロボ料理(フィジーの郷土料理)を食べ放題したり、心も体も贅沢三昧でございました(笑)。

心からリラックスできる楽しく美しいバカンスが、フィジーには盛りだくさんです。機会があったらぜひ私の大好きなフィジーに行ってみて下さい、きっと気に入っていただけると思いますよ!!

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※追伸・フィジーの内乱について調べていたら、あるレポートを見つけて、私はうーんと唸ってしまいました。
南の島のフローネという文章ですが、他の国を理解するというのは難しいことです・・・。

私が旅行者の目で見た限りの印象ですが、普通のネイティブの人は差別されているというよりも、インディオと言い争いをしてまで自分の権利を主張するのは面倒だという気持ちが根本にあるような気がします。

例えば、フリーマーケットに出展したとき「その場所、私が気にいってるのよ、ちょっとどいてちょうだい!」などと、押出しの強い怖いおばちゃんにいわれたら、私なら黙ってどいてしまいます(笑)。
フィジーに於いては、あちこちでそんなことを繰り返していたら、今のようになってしまったんじゃないかなと私には思われます。
インディオはインディオなりに、主張を強く押し出さないとやっていけないというバックグラウンドがあるので、怖いおばちゃんと比べては申し訳ない気がしますが。。。


タオから

もう、何にも説明のいらない、素晴らしいレポートですね。ちゃんと十分に観光旅行を満喫しながら、しっかりと見るべきものは見てくる、さらにそれを、日本に帰って来てから発信する力があるというのは、旅行の苦手な筆者にとっては頭が下がります。
すばるさんは講座の中でも、最も行動的でケレン味がなく、自然体で人と接することのできる貴重な資質を持った女性ですが、このレポートに見事にそれが現れてますね。
でも、筆者も人が歌ったり喋ったりしてる間、ずっと踊りまくってて呆れられるタイプなんですが、すばるさんもそうでしたか・・・一緒に踊りたかったぁ(笑)

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