「世界風水紀行」

夢の留学の実態は?

★☆★イギリス留学体験談★☆★

文・ゆっきぃ@英国


あこがれ

私は現在、事情でイギリスに住んでいます。幸福なこともあり、不安なこともありますが、今回イギリスに住む前に、よくありがちな目的のはっきりしない留学でイギリスの別の地域に2年間住み、日本に帰ったという経緯があるので、サイト訪問者のお役に立てばと思い、少しそのことをお話したいと思います。
その時の留学では、イギリス人の学生向けのアート系のコースに通いました。タオ先生にも自分の経験としてお話したことがあるのですが、実は私は、中学生の頃からずっと、海外に住むことに漠然と憧れ続けていました。

20代後半の頃、いったんははっきりした目的を持って、アメリカの大学院留学に挑戦しました。しかしそれは失敗に終わり、自分探しもそれなりにし尽くしたと思える状況の中、それでも海外で暮らしてみたいという思いが自分の中で消えず、もう怨念のようになりつつあるのを感じていました。それならばいっそのこと、自分を納得させる為に、とりあえず行ってみようと思って決行した留学でした。
海外留学で祐気取りをしようとは考えなかったけれど、なんだか行き詰まりを感じていて、その原因は自分には見えていない、動くことで状況を変えたい、と思ったのです。こういった留学の動機は、タオ先生のところに相談に見える人達と共通のものかもしれません。

今でこそ、あの時のはっきりした目的を持たない留学は危なっかしかったと思えるようになりました。でもあの時の気持ちを考えると、ただフラフラと海外生活に憧れている人達を笑ったり、偉そうなことを言う資格はないなぁと思います。



いざ、イギリスへ

私の留学の場合、目的ははっきりしていませんでしたが、いちおう最悪の事態を考慮に入れて出かけました。実際にはそれほどひどいことは起きなかったので、幸いにして留学中にものすごくがっかりせずに済みました。
ですが、辛かったこと、もう思い出したくないことは山のようにあります。 今思い出しても一番いやな気分になり、その渦中にあった時も一番辛かったのは、同じ家に住んでいたほかのイギリス人の学生達にお金をごまかされて、多く負担させられたということです。
ガス、水道料金をみんなで割り勘にしていたのですが、どうも私が一番 多く払わされていたようなのです。請求書などもちゃんとみせてくれず、結局丸め込まれてしまったのですが、日本人は私一人だったし、対立するエネルギーがなくて、泣き寝入りをしてしまいました。
私の前にその家にいたイギリス人の子も結局お金のトラブルで出て行ったらしいので、私が日本人だったから騙されたというわけではなさそうなのですが、腹が立ち、辛くて仕方がありませんでした。

実際に行く前には、外国で暮らせば、現地の人と仲良くなって言葉も上達するだろう、などと思い描くかもしれません。ですが、現実には現地の人も言葉のたどたどしい外国人と話していても、ちっとも盛り上がりません。だから、そんなに簡単に現地で友達ができるものではありません。
もし自分の周りに言葉のあやしい外国人がいたら、純粋に会話を楽しむことができるか、状況を逆転させて考えてみれば分かることなのですが、残念なことに、夢のような「留学」の妄想の世界に浸ってしまっていると、簡単なことが見えなくなってしまうのです。

結局、留学中に近寄ってくるイギリス人と言えば、ロクな相手がありませんでした。悪いケースだと、こちらが言葉もあやしくて弱い立場にいることをいいことに利用しようとしているか、良くても、もともと日本人(あるいは東洋人)が好きで彼女にしたがっているという変わり者(?)がほとんど、というのが現実でした。
日本人好き、というのは別にいいのでは、と思われるかもしれませんが、これも立場を逆転させて考えてみてください。日本人で、外人と付き合いたくてそういう出会いの機会ばかりを追い求めていく人を見てどう思うでしょう。他の部分はよい人だったとしても、私は大きな「?」をつけてしまいます。



「日本人好き」のじっさいは

こんな気持ちも手伝ってか、私はいわゆる日本人好きのイギリス人とは仲良くなれませんでした。もう一つ、日本人好きのイギリス人と仲良くなれなかった理由があります。残念なことに、日本に興味がある、日本語を勉強しているという外国人は、まずS学会と関係がないかどうかを疑ってかかる必要があるようです。

あの団体は、ひとつの大学にまとめて留学生を送って支部を作り、現地人に布教するといったことをしています。私の留学していた町も、日本人のS学会関係者が沢山いるところで、日本語教室で学んでいるイギリス人も3分の1ぐらいがS学会関係者でした。仏教の教えに興味を持つような外国人は、ただ外国人の異性に興味があるような変人とは違い、結構インテリです。その人だけ見ると友達になれたらいいのに、と思うような人が多かったのですが、S学会と聞いて私はやっぱり引いてしまいました。

そんなわけで、実際の海外留学は、言葉がそれなりに達者な人は、他の国から来た留学生仲間の中心になり、言葉ができない人は、日本人留学生の中で過ごすことになってしまうのが現実です。
日本人とばかり一緒にいて、言葉が上達しないという話はよく耳にすることですが、私の場合は、強烈な個性の持ち主(というか、つまりは変わり者)の日本人クラスメートがいて、その人に振り回されそうになったことがありました。
留学中に知り合う日本人は、個性が強い、平たく言えばちょっと変わり者(私も含めて。。。)が多く、育ってきた環境、年齢、社会での経験などが本当にさまざまで、日本にいたら絶対に接点がなかっただろうと思われる人達ばかりです。そんな人達とばかり日常付き合わざるを得なくなります。変わった経験と思って楽しめばよい、といえばそうなのですが、やはり強烈な変化ばかりではストレスも小さなものではありません。当然、疲れも溜まり、トラブルも出やすくなってしまいます。



海外での暮らし

いずれにせよ、留学だろうとなんであろうと、海外で暮らすということは、日本にいるときに何となく包まれていた「馴染んだ」環境とは、がらっと違うところに身をおくことになる訳です。ずーっとテンションの高い(悪くすればストレスの多い)毎日を過ごすことは覚悟していく必要があると思います。
たとえば、簡単な買い物をするだけでも、店に行き着くための電車やバスなどの交通機関がすぐに動かなくなったり、お金を払ったらおつりを間違えられたり、家で使い始めたら買ったものがすぐ故障したり、というトラブルを経験する度合いは、日本よりずっと多いのです。

日本では、別に意識しなくてもちゃんと機能している社会のシステムが、まともに機能していない国は、イギリスに限らず世界にたくさんあります。結局は、日本ほど品質管理の水準が高く、公共サービスがしっかりしていて、お客様本位で物事がまわっている国はないと実感するのが現実です。小さなことでも、うまくいかなかった時に対処するだけの自信と語学力がなければ、泣き寝入りをするほかないことも覚悟したほうがいいでしょう。
また、安全についても、最近の日本は安全ではなくなったとは言われますが、それでもまだ世界で一番安全な国のひとつであることは間違いないでしょう。
イギリスの場合、アメリカのようには銃は自由に保持できないので、そういう意味では比較的安全ですが、暴力に対する社会全体の態度は、日本ほど厳しくありません。
私の住んでいたのは地方の中都市ですが、路上での暴力の危険、レイプの危険などは決して小さくはありませんでした。幸い私は留学中に暴力に会うことはありませんでしたが、レイプされた日本人留学生の話も聞きショックを受けました。


ここまで、思いつくままに留学中のトラブル・不愉快だったことを書き綴ってきましたが、手短に言ってしまうと、留学はガイドつきパッケージツアーの外国旅行とはかけ離れている、どちらかというとバックパッカーとして旅をするのに近いと思っていただければ良いのではないかと思います。
トラブルはあって当然。交渉ごとでは簡単に引き下がらない(ことによっては喧嘩も出来るぐらいの)度胸が必要です。これから留学を目指される方は、費やした時間を無駄にしないためにも、以下のことを知っておかれるといいと思います。
知らない国で暮らすには、日本でならごく普通にできることに余計な努力をしなければならない、と肝に銘じた上で、トラブルも楽しみのうちといえる気合をもって望むことが必要でしょう。
私の場合、コースの勉強を力いっぱいこなしているうちにアッという間に2年間が過ぎてしまったので、幸運だったと言えるでしょう。トラブルの比較的少ない留学だったと思っているのですが、世界の情勢も刻々変わりつつある現在、これから行かれる方にはどんな事態が待っているかもしれません。それは方位のせいばかりでなく、海外生活そのものがそういう危険を孕んでいるのです。日本にいては分からないこともあります。しかしその中でも大きな発見は、日本がどんなに生活のしやすい国であるか、ということがありました。なんとなく皮肉な気がしないでもありません。
こんな体験談でも、少しでもお役に立てていただければ幸いです。

タオから
留学するにも、いろんなケースがありますが、欧米の先進国ならばいいだろうと思っていた方にはショックな体験談かも知れませんね。私も、世界各国あちこちで暮らしている知り合いがいます。武道をしていると変わり者が多い(?)せいか、日本から飛び出してゆく人が多いのです。
彼らのタイプは海外で合気道の道場を開いたり、教育関係の仕事に携わったりと、わりにしっかりと自分の生き方を持っている人が多いように思います。しかし、そんな人達の間でさえよく出る話は、「結局、外国の日本人社会でしか付き合わない、またそうせざるを得ないから、日本にいる時よりも社会が狭くなった」「○○ではそれなりに覚悟を決めて暮らせば特に不足を言うことはない」ということです。
こういう人達は自分のなすべきことをしっかり持っていて、どこにいてもそれを発揮できる人達ですが、それでいてさえ、「それなりの覚悟」は必要なようです。私は凡人なので分かりませんが、海外生活をやって行くには、普通よりも高いテンションを持ち続けることが必要なのでしょう。それは先進諸国においてさえそうなのですから、開発途上国ではなおさらでしょう。
目的のはっきりしない海外留学で「運の開ける方位」という期待は如何なものでしょうか???


タオの風水学教室TOPサイトマップ  関連項目:風水学講座 風水巷談
現在このサイト内にいる人は 人です♪
Copyright (C) TAO AllRightsReserved.
http://www.kumokiri.net/