風水巷談:目次

新型コロナ禍に朗報か、日本は集団免疫を獲得していた?
~BCG Tokyo172株は救世主となるか~



今更BCGって、何の話?

たぶん皆さん、既にご存じのことと思いますが、これは唯一、希望の持てそうな、明るいニュースです。
たとえ、間違っていたとしても、大きな弊害は無さそうですが、現在、だいぶ情報が錯綜して、元の話とは方向が変わってきているようなので、この章でまとめておきます。
特に、後発のニュースほど、最初の情報よりも内容がどんどん劣化して、少し違う方向に行きだしているので、最後まで読了をお願いします。

現在、世界各国でBCGの臨床試験に入っていますが、最初に着手したのはオーストラリアでした。実験の趣旨は、「BCGワクチンが、新型コロナ肺炎の重症化を防ぐ(のではないか)」ということです。
しかし、この情報はかなり不正確なのです。


「え?ナニ?BCGってあの針のいっぱいついたハンコ型の注射でしょ?あれが新型コロナを防ぐの?」
「BCGは結核の予防にするものだよ。結核は細菌、新型コロナはウイルス。細菌とウイルスをごっちゃにして、いったいナニ馬鹿々々しいこと言ってるんだ」

など、いろんな意見があると思います。
しかし、BCGが新型コロナを防ぐわけではなく、治療するわけでもないので、どっちにしても今から慌てても遅いです。すでに接種している人は、感染はしますが、重症化しにくいのではないか、という話です。
またこれは、あくまでも状況証拠であり、まだ何の科学的な確証もありません。


コトの発端は

事の発端は、医者か学者か一般人か分からないのですが、インド人が言いだしたのだそうです。私の認識も、実際とは順序が違っているかもしれませんが、幾つか資料をお見せしますので、どのへんまで信用できそうか、自分で判断して下さい。

インド人が着目したのは、妙に感染者や死者の少ない国の共通点は何だ?という点でした。
いろいろ調べていくうちに、旧東ドイツと西ドイツの間に、くっきり出来ている境目を見つけました。3月27~29日時点のデータなので、もう書き換わっているでしょうが、何せ特効薬が無くて、各国とも藁をも掴む心境なので、ヒントにはなりました。
そしてこれも「妙に感染者や死亡者の少ない」日本との間に発見した疫学的な特徴は、BCG前期株の接種義務がある(あった)、ということです。
下の図は件の旧東ドイツと西ドイツのデータですが、いきなり結論に入る前に、順次見ていきましょう。

 

JSatoNotes



BCG世界地図

まず、ジョンズ・ホプキンス大学のBCG世界地図です。
これは単純に、BCGを義務付けているかいないか、という区分けです。この章の論旨ではありませんが、全く無関係ではないので、まずこれをご覧ください。
ただし、この情報だけではまだ半分以下なので、慌てないで下さい。

A(黄色):BCG接種義務のある国。日本、中国、韓国、ロシア、インド、ASEAN諸国、中南米など。

B(紫):BCGの接種義務を中止した国。EUでは1980年代からBCGを任意にし、接種する場合でも新しい株に変更された。

C(赤):BCGの接種義務のない国。イタリア、オランダ、アメリカ、カナダなどです。

次には、COVID-19の感染者マップなどを挙げるのが順序かもしれません。
しかしこのテーマでは、人口密度のバラつきを考えると、細かく色分けしてもあまり意味を為さないので、国ごとにBCGのタイプを色分けした地図を表示します。


薄い水色:日本株
濃い青:ロシア株
紫:ブラジル株
黄色:デンマーク株
緑:コンノート株
薄い緑:パスツール株
赤:他の株
白:接種義務なし、データなし


この地図を見ると、BCGにもいろんな種類があり、各国で違うのだ、ということが分かりました。しかしただ違うだけではなく、なぜこのような違いが生まれたのか、また各株ごとの能力の違いを見てゆきます。それには、BCGが開発されて日本に持ち込まれた経緯を知らなければなりません。

BCGとは、(Bacille de Calmette et Guerin 、カルメット・ゲラン桿菌の略で、開発者のアルベール・カルメット(Albert Calmette)=写真左とカミーユ・ゲラン(Camille Guerin)=写真右の頭文字が入っています。
開発の苦労話には、とても興味深いものもありますが、駆け足でいきます。

フランス、パスツール研究所で、カルメットとゲランが12年の苦労の末、1921年にBCGを完成させました。
その後、すぐにロシア、日本、ブラジルの三国に、この第一世代の株を分与します。

このように速やかに分与された理由は、当時は生ワクチンであった為、継代維持が困難だったので、早く分与して保全に努める意味もあった、と言われます。
この時に日本から馳せ参じて第一世代株を持ち帰ったのが、赤痢菌の発見者として知られる志賀潔です。
その後日本では独自に接種法を工夫し、1961年、朽木五郎作の考案により、9本管針による接種法が考案されました。
接種器具は国によって様々で、日本の9本針の器具は、かなり洗練された高度なものとされています。この器具になった経緯は、普通の皮下注射では様々な副作用が出たからで、間違っても皮下注射は行わないことです。

日本、ロシア、ブラジルは、それぞれ持ち帰った株を継代培養して普及に努め、この三国の維持しているものが、第一世代の原株に最も近いものです。

その後、元のパスツール研究所の原株は変異して毒性(効力)が弱まりましたが、第二世代として、スエーデンなどに分与されたのが1925~1926年のことです。
第三世代は1926~31年にヨーロッパや他国に分与されましたが、それぞれ微妙に性質や効力が違います。

もともと、カルメットとゲランがウシ型結核菌を採用したのは、病原細胞を使った株は、実験室で培養を繰り返すうちに、毒性が弱くなって効力を失っていったからです。
この継代を繰り返す中でも、毒性を失わない培養方法が発見されたのは、まさに偶然としか言いようのない僥倖でした。
カルメットは軍医出身、ゲランは獣医出身で、この二人の組み合わせが両輪としてうまく噛み合った事も、BCGというたぐいまれなワクチンを産み出す推進力となったのでしょう。

種々の動物に対して無害なレベルで毒力が固定され、しかも抗原性状の変化していない株が出来上がるまでには、3週ごとに継代をして231代繰り返す、という膨大な時間がかかり、研究は第一次大戦の戦火の中でも続けられました。
その結晶が、現在、日本で国民のほとんどに接種されているBCG Tokyo-172株です
分与された株の系統図と力価は以下の通りです。

 



この間の事情をもっと詳しく読みたい方は、以下のPCFをDLして下さい。
しかし、このような苦労を経たワクチンも、オリジナルの株は変容してしまいました。日本には力価の強い前期株が維持され、広く使用されて国民を守っているというのは、まさに奇跡としか言いようがありません。

BCG の歴史:過去の研究から何を学ぶべきか
(日本BCG 研究所学術顧問 戸井田一郎)


さて、このBCGが、日本に、世界にどのような役割を果たしているのか。結核予防の効果はもちろんですが、他にもBCGは、広い範囲の免疫を獲得する、副次的な効果があると言われます。
それが今回の新型コロナウイルスにも、一定の効果を発揮しているのではないか、と着目する人が出てきたのです。
下の各国のBCG接種状況(株別)は、2020/03/29に取得したデータです。半月も前のデータなので、死者数や順位もだいぶ変化していますが、前のデータがあったほうが、これ以降に、どのくらい増えているか増えてないか、比較するのに便利だと思います。ご自分でデータ取得して比べてみて下さい。
長いので、別ページにしています

各国のBCG接種状況(株別)

BCG摂取率(WHO) PDF

BCG接 種 の 現 状 と 問 題 点



上のBCG接種率(WHO)の資料を見ますと、日本も完璧ではなく、1980年代には85%ほどに下がっています
接種していない人がチラホラおり、特に現在の30代の人の中に多い、ということです。
2015年にも何故か下がっていますが、データ不足なのか、他の要因があるのか、理由が分かりません。

感染症専門家の岩田健太郎氏にしてからが、娘二人とも、接種させていないそうですから、そういう流れがあるのかもしれません。
ヨーロッパでは近年、全域で「はしか(麻疹)」が大流行し、多くの子供の命を奪いました。そのため、保育園や小学校に就学する条件として、10種類のワクチンの予防接種を義務付けたそうです。
ところが、現在大変なことになっているイタリアは、ワクチン反対派の「五つ星運動」が政権を取り、2018年に、ワクチン接種に関する政令を廃止する法案が可決されました。

筆者なんて、はしかワクチンなんか無かった時代に、生後十か月だった子供を、はしかから重度の肺炎にさせてしまい、大学病院の隔離病棟に一カ月入院させられました。つきっきりで本当に大変で、家族の援助でやっと切り抜けたという、苦い思い出があります。
はしかワクチンがあるなんて、こんな有難い事はないのに、何という事でしょう。
こういう人達には、BCGなんかたぶん過去の遺物で、後進国が摂取するワクチン、という認識なのでしょうね。海外に行くと、BCGの瘢痕で国籍を特定されてバカにされる、というようなこともあるようですし、そんなこんなで、若い人達の中には接種しない人があるかもしれず、残念なことです。

しかし今回の新型コロナ騒ぎで、BCGの出荷が三倍になっており、ハンコ注射ではなくて適当に皮下接種をしてしまい、きつい副作用が出ているケースもあるそうです。
それ以前に、BCGは乳幼児用に一定量しか製造していない為、大人の需要が急増したお陰で、定期接種のぶんが足りなくなっているとのこと、とても心配です。
ただ上記のような経緯を見てきますと、日本株・ロシア株・ブラジル株と他の株では、かなり内容が違いますので、別の株で臨床試験をしても、果たして有効なのだろうか?という疑問は湧いてきます。BCG VPM1002での治験だそうですが。

また、「3、新型コロナウイルスの特徴は?」で述べた通り、正確には免疫力を強めるのではありません。
BCGは免疫反応を適切にコントロールする、過剰反応を抑える、と言ったほうが近いのです。コントロール能力まで含めると、「免疫力を高める」でも間違いではないでしょうが、やたらに腸内善玉菌を殖やすだの、ヨーグルトを毎日食べると免疫がつくだの、中途半端な聞きかじりには注意したいものです。


日本人は危険なスーパースプレッダー?

日本人は、親か自分が拒否しない限り、ほとんどの人がBCG接種しています。

1949年:BCGによる結核予防接種が法制化。30歳未満の人に毎年ツベルクリン反応検査を行い、BCGによる免疫が確認されなかった場合は繰り返し接種を行う。

これによると、1949年に30歳以下だった人は全員接種している筈ですから、2020年時点で101歳以下の人は接種しています。
それがどのくらいの期間、効力を持つかは、個人によって違いますし、免疫の出来にくい人もあるでしょう。加齢で効力を失った人もあるでしょう。
今から慌てても大した違いはないでしょうが、日本全体で見ると、大きくBCGのバリアで護られている可能性はある、ということです。

しかし、証拠のない話ですし、これを言って安心させるのが良いことかどうか、それは分かりません。前述の通り、新型コロナはいったん劇症化したらほとんど打つ手の無い疾患ですから、対応は簡単ではありません。
不要不急の用事どころか遊びに出て、更に感染拡大を招く事態だって、多分に考えられます。
自分でも他人でも、軽い風邪だと思ってるうちに、あれよあれよと重症化してショック状態になったらどうしますか?
この一文を読んでも、ちょっとだけ気が軽くなった、ぐらいにしておいたほうがいいでしょう。

もう一つ、考えなければならない事があります。
BCGで新型コロナに対する免疫が出来ているわけではなく、感染はしても重症化しにくい、というだけです。
結核に対する予防効果は約15年、しかし他の多くの疾患に対しても、50年~70年の長期間、弱くはあっても免疫を高める能力を持つそうです。

となると、世界で最も力価の高い、強力なBCGを接種している日本人は、自分は無事だけれど、ウイルスをバラまきながら歩く、スーパースプレッダーになりかねないわけです。
BCGを接種していない外国人から見たら、日本人はとても怖い存在ですよね。
今から全世界の人がBCG日本株を接種したい、と希望を持っても、乳幼児が接種してこそのものですし、いきなりそんな供給能力はどこにもありません。

また一つ、日本叩きの材料が増えてしまいます。
そういうことを考えると、政府もおいそれと、「BCGには重症化を防ぐ効果があります」なんて言いづらいと思います。

私たち日本人は、いろんな面で恵まれています。だからと言って、油断して良いわけではありません。
さまざまな面で、日本の良さが内部から壊されようとしている今、個人に何ができるのか、考えていこうではありませんか。


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