風水学講座:目次

地震に強い土地建物


土地選びの注意点

住む場所を選ぶ際に、地震に強いか弱いか、ある程度見分けることができます。古来言われてきた常識の範囲のことなのですが、改めてその方法を述べましょう。

建物の前にまず場所の良し悪しを見ます。今回の東日本大震災では、関東地方まで広い範囲にわたって液状化の被害がありましたが、場所を選ぶのにほんの少し気にかけるだけでも分かることがいろいろあります。

埋立地は避ける

これは震災後のニュースを見ていて、言わなくてもお分かりだとは思いますが、埋め立て地にもいろいろあります。大型マンションを建築する際には、デベロッパーもそれなりの対策をしていますので、すぐに液状化の被害にあうことは少ないかもしれませんが、一戸建ては明らかに危険です。

また、埋め立ててから時間が経てば安定しそうな土地であるかどうかも、ポイントになるでしょう。沼や小川程度の埋め立て地ならば、何十年か経てばだんだんと安定してくるでしょう。しかし、海側の埋立地に砂を入れた地盤は、そう簡単には固まりません。場所によっては、埋立地は何回かの液状化を繰り返してだんだんと固まるのだとも言いますが、安易な埋め立て方法だと、いったん液状化してしまうと、地震のたびに更に液状化が進む場合もあります。
簡単に結論を言うならば、賃貸しならば埋立地でも可、分譲ならやめておいたほうが無難、ということになるでしょう。
埋立地に建物を建てるなとは言いませんが、埋立地の物件は最初から全て、賃貸しとして運営するべきで、間取りや価格だけ見て、安易に飛びつくのは考え物ではないでしょうか。


地名を見る

地名は土地の履歴書とも言います。地名に「池、沼、川、河、灘、津、江、沖、淵、瀬」など「サンズイ」がついていたら、その土地はもともとは池や沼や川や沿岸部だったということになります。
そうなると、日本はずいぶん水に関係のある地名が多く、そもそも土地や家に執着して家を建てることに一生の目標を置くことじたい、余りにリスクが高すぎるのではないか、と思えてきてしまいます。
かといって、水に関係のない地名なら大丈夫かというと、鎌倉の大仏様のように、津波の為に大仏殿を流されてしまったので、そのまま新しい社殿を建ててもらうことが出来ずに、露天にお座りになっているという例もあります。まあ、大仏様本体が流されて壊れることもなく、そのままお座りになっているのは大したものだと思いますが…なかなか大変です。

古地図を見る

地名だけでなく、古地図を見てみると、現在の住まい、またこれから住んでみようと思う場所が、もともとどういう地形だったのかが分かります。
古書店や地図専門店で探してみるのも良いですが、コンピュータ時代ですから、グーグルアースが活躍してくれます。詳しい使い方が載っていますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

グーグルアース:http://googleearth.raifu.info/



建物の輪郭を見る

ちゃんとした風水の判断は、初心者の方は中心を出すだけでもなかなか大変です。しかし要は、パッと見て中心を出すのが大変な建物には、手を出さなければ良いのです。マンションでも一戸建てでもそうですが、特に木造住宅の場合に顕著です。

相次ぐ震災で何度も出た結論は、「変形の多い建物は地震に弱い」ということです。
建物は平面図で見た場合、なるべく単純で、長方形か正方形のような形が一番頑丈です。長すぎる長方形や正方形だと、また別の問題があるのですが、とにかく三角形や台形のない、ちゃんとした矩形である、というのが地震に強い建物です。

これは何故かと言うと、次のようなことが言えます。建物の形から導き出される要素にはいろんなものがありますが、重要なものに「中心」「重心」「剛性」があります。
長方形や正方形の建物ですと、自動的に対角線を引けば中心が出ますし、面積による重心が中心と完全に一致します。「重心」は物理的な概念で、一方「中心」のほうは、一家の主の部屋だとか、家族が集まる茶の間だとか、或いは著述業の人であれば書斎が中心だとか、諸説があります。
ここに加わった「剛性」という概念は、建物の輪郭と間取りや家具の量を合算した重量に加え、地震によって加わる力のバランスの話です。簡単な一例を挙げてみましょう。

上の図のうち、左は長方形の家の一階部分で、真ん中は二階部分です。一番右側は、一階の上に二階がやや偏って乗っていると仮定した図です。

ここに地震による力が加わったとします。地震力は一階部分にだけ加わりますので、一階は全体が同じように動こうとします。しかし偏った形で二階を載せているので、剛心は一階の重心にはありません。その為、家にはねじれの力が加わってしまいます。
図では「+=一階の重心」「×=全体の重心」としていますが、この「全体の重心」は建築学上では剛心に近いものです。しかし建築学上の剛心はきちんとした計算で出すものですので、あえて剛心という言葉は使っていません。建築基準法では、重心と剛心の隔たりから来るねじれの度合いを偏心率と言い、一定以下にしなければならないことが規定されています。

この例のように、家全体に重心の偏りによる歪みがあると、地震の為に家が揺れる時、ねじれの力が働きますので、家が壊れやすくなるわけです。

更に、増改築があれば、古い部分と新しい部分の強度が違いますので、剛性にもう一つ不利な要素が加わることになります。「増改築は基本的に凶相」というのは、そのせいです。もちろん、新旧の程度と傷み方、増改築の規模によって違います。


建物の開口部を見る

更に、建物の剛性を左右する要素として、玄関や窓などの開口部の問題があります。
簡単に言うと、壁は強いけれど、大きなガラス窓などは弱いということです。建物の輪郭がほどの良い長方形で、二階の重さによるひずみもなかったとしても、壁量によって剛性に違いが出てきます。
ちゃんとした長方形や正方形だったとしても、片側が一面全てガラス窓だったら、地震に対する剛性は四面が同じではありません。地震によるねじれの力が加わった場合、ガラス窓の側から壊れやすくなります。窓の大きさは、ほどほどにしておいたほうが賢明です。
また、柱も全体に同じ感覚で立っており、力が均等にかかるようにすることが必要です。開口部は柱の位置にも関連してきます。

まだまだ沢山の要素があるのですが、このように、風水の原理とは、色の占いとか、摩訶不思議な世界のものではなく、ごく当たり前の常識なのです。

家相には細かい言い伝えが多く、あまりにその度が過ぎると迷信のように感じられるかもしれません。しかし、現代のように建築工法が発達していない時代には、「お神楽はダメだよ」「継ぎ(建て増し)はダメだよ」というのは、守らなければならない基本的な知識だったのです。
木造の瓦葺という、弱い住宅だったからこそ、家相学の情報集積ができたので、住宅が強くなり、変わった形の家でも建てられるようになったと言っても、あくまでもそれは変則的な形に耐えているというだけの話で、決して望ましいことではない筈です。

ましてや、地震の活動期に入り、東日本大震災のように一ヶ月以上も毎日何十回も強い余震で揺さぶられ続けるという事態を考えれば、(このくらい大丈夫だろう)という基準は、あまり緩和しないほうが良いような気がします。

「2011年5月記述」

TOPサイトマップ  関連項目:基礎講座 タオの風水暦 巷談
現在このサイト内にいる人は 人です♪
Copyright (C) TAO AllRightsReserved.
http://www.kumokiri.net/