風水学講座:目次

家は人体ナリ


風水学では、家の各部分を人体になぞらえる考え方があります。
南=眼、西=口、東=咽喉などです。
西に冷蔵庫を置くと食べ過ぎて太ってしまう、というような説も、ここから出たものです。いちおうそれなりに理屈はあっているのですが、こういう風にあまりに即物的な考え方になってしまうと、その部分だけが一人歩きを始めてしまい、かえって原理原則から外れていってしまっているようです。
そこで今回はもう少し、包括的な考え方を理解し、更にそれを実用につなげるように考えてみましょう。

北と南の対比

まず、家をおおまかに北側と南側に分類します。あまり、家の中心はどこで、北とは何度から何度まで?と細かく考える必要はありません。不動産家で「この物件は南向きです」という程度のことで結構です。
ワンルームだとどうしても間取りが偏ってしまいますし、あまり大きな物件だと他のいろんな要素が出てきて、この章のテーマがはっきりしなくなってしまいますので、だいたい3LDKを中心にしています。

まず下図の左1の物件を見て下さい。何の変哲もないありがちな3LDKの間取りで、このバリエーションは様々なものがあります。比較的よく見かけるタイプの間取りです。
この二つの物件を比べてみて下さい。何を感じるでしょうか?

1、水場が分散した部屋 2、水場が北側に集まった部屋


実在の物件の図面を加工しているため、どこに何があるのか少し見づらいと思いますが、細かく評価することは差し控えてこの章のテーマに関連する部分だけ述べますと、2の物件は水場が北側に偏っています。
1の物件のほうは一見、中心に水場が固まっているようですが、これは東側と西側に分散されています。

2のタイプは、なぜか都心の高級マンションに非常に多く、これはすべての居室を陽当たりの良い設計にしたものでしょう。
筆者がいろいろ物件を見ていると、高級物件のほうが様々なバリエーションがあって見るのが面白く、しかも風水の原理原則とその特徴が如実に出るので、つい高級物件ばかり見てしまいます。この表サイトで実在の物件を云々すると営業妨害になってしまうので、図面は加工して少し変更してありますが、この章では物件の総合評価をして良い悪いというのが目的ではないので、あくまでも章のテーマに沿った解説をします。

ここで問題にしているのは、部屋の中の水場の位置とバランスです。
水場が北側にあるか、南側にあるか、分散されているかです。

それと、この図は、北を下に、南を上にしています。普通の間取り図とは上下を逆にしています。


風水で見る人体

なぜ北側とか南側を云々するかと言いますと、風水では家を人体になぞらえて考え、その特徴を掴むことができるからです。
簡単に言いますと、南側は上半身、北側は下半身ということになります。そのため、わざわざ図面が逆さになっているのです。

風水で一般的に使う八方位や十二方位を覚えるのも良いですが、今のところは、それは専門家に任せておくことにしましょう。皆さんが簡単に風水の特徴を掴むには、実際は北側と南側で考えるほうが実用的です。
なぜなら、家具の置き方が分かるからです。


上半身と下半身

家を人体に見立てますと、上半身は南側です。よく陽が当たり、ぽかぽかと暖かいです。そして上半身というのは、社会に向かっていろんなことを表現したり、仕事をして社会に貢献したりします。どちらかというと能動的です。家の南側も、外に向かって働きかける意味合いを持っています。

一方で下半身は、上半身をしっかりと支え、土台の役割をします。あんまり下半身だけが脚光を浴びることはありませんが、足腰が弱ると体力気力ともに衰え、早く年を取ります。
人間は、上半身だけ大切にしても基礎力が不十分で、下半身とのバランスが取れてこその充実した人生です。

筆者が知っている限りでは、剣道家には年を取っても矍鑠として長寿の方が多いのですが、剣道家は眼と足を鍛えておられるので、上半身と下半身の連動が良いのではないかと考えます。

剣道で足を鍛えるというのは誰でも分かると思いますが、実際に剣道の試合を見ていると、素人は全く眼が追いつきません。特に高段者の試合になると、長い時間、ずーっと睨み合いながら小刻みに竹刀の先でせりあいをしていたかと思うと、一瞬のうちに勝負がついているので、何が起こったかさっぱり分かりません。
筆者も武道暦は長いですが、たまに剣道の大会を見に行くと、目がついていかなくて、慣れるまでに何時間もかかります。それでも懸命に何試合も続けて眺めていると、竹刀の動きが見えるようになってくるので不思議なものです。剣道の試合は玄人向けで、素人が見てもサッパリ分からないと言われる所以です。

人間は上半身と下半身がうまく連動してこそ生き生きと活動できるのですが、やはり土台は下半身です。下半身が弱るとアッという間です。衣服も、上半身は薄着でも良いですが、なるべく下半身は冷やさない方が良いのです。
女子高生のミニスカートも、見るのは楽しいかもしれませんが、日本の将来を考えて少子化に歯止めをかけたいならば、ユニホームもミニスカートにナマ足という服装はやめるべきです。

家も同じです。南側は軽めに、北側はしっかりと衣服をまとったほうが良いのです。
これは、家具の置き方に応用できます。北側はなるべく天然素材を使ったどっしりした暖かい感じの家具を多用します。一方、南側は光と風を多く取り入れたほうが良いので、あまり家具は沢山置かないほうが良いのです。置くとしても背の低い、軽いスッキリした感じのものが適しています。
床も、南側はフローリングで良いですが、北側は暖かいゆったりした感じのカーペットが良いのです。家も人間も、頭寒足熱が健康に良いのです。

また、人間の基本はしっかりした睡眠ですが、寝室はなるべく狭くて陽の差さない、穴倉のような構造のほうがぐっすり眠れるので、居室の全てが陽当りが良いとなると、寝室に向いた部屋がなく、家に帰って休もうとしても実際上はくつろげない、ということになってしまいます。また緻密で根気の要る仕事をしようにも、集中力を欠くようになります。
北側の部屋は、とても大切なのです。北側にしっかりした部屋のない家は、下半身の弱い家です。底力に欠ける、と言っても良いでしょう。幾ら外に向かって力を出そうとしても、底力のないものはすぐに息切れしてしまいます。

そうなると、一見現代的な、日当たりの良い個室の多いマンションは、決して良いものではない、ということになります。陽当りが良いということを、長所のように考える人が多いのに驚きますが、家を人間になぞらえ、上半身と下半身の関係でもう一度考えてみると、また生活と向き合う際の考え方も違ってくるかもしれません。


変則的な家相

最後に、けなしてばっかりでもナンなので、少し変わった間取りをご紹介しておきます。この物件がとても良い、というわけでもありませんが、他にはない二つの特徴を持っています。

洗面所と台所が居住空間から張り出した形になっています。これは変形というよりも、有利な特徴と言って良いでしょう。この物件の中心の出し方はちょっと変則的になりますが、一般的な張り出しとか欠け込みとは少し違います。

もう一つの特徴は、玄関が真っ直ぐに部屋の中を向いていないということです。
いわゆる、回り込んで入る形になっているので、玄関方位の影響が小さくなります。玄関が真っ直ぐに部屋の中を向いている物件が大半だと思いますが、このような玄関もけっこうあります。
一戸建てを計画する時に、良い方位に玄関が取れない場合は、この形を応用していただくと良いでしょう。
この物件が住み心地が良いかどうかとはまた別問題ですが、たまたま探し当てたのでご紹介しました。

「2011年7月記」

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