風水学講座:目次

小さな家の大きな吉相

(一戸建ての変化技)


前章で、一戸建て派の悪口(?)を書いたら、一番反響の大きいのがこの章となってしまいました。やっぱり皆さん、「風水」と名のついたサイトに来るだけあって、「家」の問題には切実なものがあり、自分のことを書かれているように感じるのでしょう。それも当然です。
そこでこの章では、一戸建てを取得する際の、正統的・理想的な方法、でもそれができない庶民のための、変化技を紹介することにしました。しかし、これぐれもこれは変化技です。こうしたから良い、完全に大丈夫、ということではありません。一部分だけを取り上げて良い悪いを大きく言うと、全体として全く違う結果になります。その辺は後で述べる条件と併せて、勘違いしないようによく判断して下さい。


オーソドックスな方法

まず、新規に住宅を取得する場合には、それなりの手順と条件を踏まえなければなりません。家を建てること、それも、住む人が家庭面でも健康、金銭面でも安定し、社会的にもいちおうの成果を挙げようという場合、風水的な条件としては、大前提が二つあります。

一、敷地が、できれば100坪から200坪は欲しい。
あまり狭い土地には、風水的に吉相の家は建ちません。
一、敷地が北に高く、南に開けている。

この二つでもうダメ、という方がかなり多いでしょう。またこれは、霊地(墓や宗教施設の傍)はもちろん避け、三角地などの悪条件でないことを前提とした上でのことです。地質も水はけなどの点で、一定の条件を満たしていることが必要です。
これは、水場の比重から建物の大きさを逆算し、更に敷地の中での建物の割合を考えた広さです。100坪以下ですと、日当たり、道路との関係で余裕がなくなりますし、200坪以上ですと、今度は普通の家族が住む広さではなく、別棟とか車庫を配置してもなお、敷地全体に住む人の気が行き渡らなくなります。言い換えれば、管理が行き届かず、無人の場所、風水的なブラックホールができてしまいます。
50坪〜100坪の間ですと周囲の条件によっては吉相にできることもありますが、個々のケースによって異なってきます。
さて、これだけの必要十分な敷地が用意できたとして、ここに、風水的に理想的な家を建てるには、次の手順を踏まえます。

1、敷地を吉方の時期、方位で入手する。
まず、前記の敷地を入手する際に、その方位が一家の主人にとって吉方であることが重要です。これはあくまでも契約の日ではなく、その物件の情報が出てきた時期、初めて見た時期で判断します。ですがやはり、きちんと契約を取りまとめる日も大事にしましょう。不動産取引では、土壇場になって信じられないようなことがよく起こりますから。
もちろん、妙な因縁のある土地は最初から避けることは、いうまでもありません。

2、着工時期、竣工時期の目安を立てる。
いくら何時々々が吉方と決めても、多くの業者が関わりあうことですから、実際問題、希望する時期に出来上がるとは限りません。建売やマンションであれば、入手した時期が吉方であれば、吉方になるチャンスを待って入居するだけですが、これから新築ではそうもいきません。よく相談して目安を立てましょう。

3、建物の間取を決める。
ここが問題ですが、このサイトでご相談される場合、次のようにして頂いています。
まず、その業者でできる一応のモデルルーム案とオプションプランを幾つか出して貰います。その中で最も欠点の少ないものを土台にして、変更を加えてゆきます。
変更を加えた場合、力学的におかしな形になる場合がありますので、大体の変更プランを業者に伝えた上で、もう一度設計しなおして貰うことになります。
これはだいたい2〜3回やれば十分でしょう。敷地の条件が良い場合は、だいたい一回で終わります。
最終的な案が出て、風水的にも建築業者の方でもOKが出たら、予定通りに着工します。

多くの方は、この順序が逆になってしまうようです。気に入った物件があったから、間取を見て欲しい、と言われても、物件に出会った方位と時期が大凶方であれば、風水的には既に凶の物件なのです。
そこを、着工や入居時期を変えることで、何とか大難は中難に、中難は小難に、小難は無難に(ここのところ、ナントカ易断みたい)しようとすると、そこで悶着が起こりがちです。
こちらも、方位のことには触れずに間取だけ見て済ませれば良いようなものですが、つい言ってしまう。だって、知らん振りも出来ないじゃないですか。悪いものは悪いんですから。
いや、私のところでは悶着は起こりませんが、家族間では結構モメているかも知れないな、と老婆心ながらご心配申し上げておりますが、そこのところ、皆さんの認識は如何なのでしょうか。

4、竣工したら、家族それぞれが吉方の時期に入居する。
これもうまく時期が合えばいいですが、本命星が個人個人で違うので、けっこう面倒です。実際には、一家の中心になる人の吉方を選び、他の方には良くも悪くもない、という時期で手を打つことが多くなります。


家と運命の係わり

一戸建てとなると、これだけの順序を踏まえなければなりません。
1から3の部分で、疑問を持たれた方がいらっしゃるかも知れません。すなわち、「たとえ入手した方位が少々悪くても、家じたいを吉相にすれば、何とかなるのではないか?」
確かにそうです。理屈ではそうですし、そうできれば問題ないのですが、妙なことに現実にはあまり、そういう例にお目にかかったことはありません。まあ、ほとんどない、と言っておきますが……。
凶方で手に入れた物件は、吉相にしようと思っても、何かの事情でそのまま凶相の物件として建ってしまうことが、ほとんどなのです。例えば、予算が足りなかったり、家族の反対があったり、業者が融通がきかなかったり。
一番多いのは、自分自身の判断が狂ってしまうケースでしょう。せっかく「風水的に吉相の家を建てるぞ!」と思っていても、なんだかメンド臭くてバカらしくなってきて、だんだんエネルギーが無くなって来て、「もういいや、風水なんて気休めだ」ということになりがち。これが怖いですね。

家相というのは不思議なもので、入手した方位と似たような相を持っているものです。
それ以前に、その方位で物件を入手したということには、その人の運勢と何らかの関係があるのかもしれません。何の因果関係もなしに、偶然その物件に縁が出来たわけではないのでしょう。
運命という観点から見ると、多くの人が、その人の運勢とか現在の状態に応じて、ある方位で物件を入手し、自分の状態と似たような相の家に住むことになってしまいます。ですから、今与えられた家の風水相を変えるということは、ある意味ではとても大変なことだというのは分かります。言い方を変えれば、家相を変えるというのは、運命に逆らうにも等しい行為であって、そう簡単なことではないのでしょう。

このへんを無意識にでも認識していらっしゃる方は、やはり「不動産を購入して良い時期と方位」、から鑑定を依頼されるようです。最初に無理しても吉方で縁をつけた物件は、わりあい簡単に吉相のものが建つようです。
じっさいは、いざ家を探そう、と思った時に吉方がないのは辛いことだと思いますが、我慢すべき時はじっと我慢の子になること。そして吉方になってから始めて、手頃な物件が出てきた場合は、建築計画の方もほんとに楽に進みます。
あまりにあっけないので、「ほんとにこれでいいの?」という感じで、こちらとしても仕事が楽です。
また、不動産というのは、その人の運勢の流れとも関わりがあります。実は、運勢全体の良し悪しとは別に不動産運というものがあり、不動産を持たない方が運勢が良いという人は、意外なくらい存在します。仕事もでき、愛情にも恵まれ、お金にも不自由しない。しかし不動産を入手したとたんに運気が停滞気味になる、というものです。
こういう方は、若いうちは財産を現金で持っておいた方が良いので、不動産を入手するのは、ある程度年齢がいって、社会的に基礎が固まってからにした方が良いでしょう。お金ができたからといって、誰でも彼でもすぐに不動産を買えばいい、というわけのものではありません。


家の売買・怖〜い話

運命と不動産の係わりについては、つい最近、筆者の身近にわりと怖い例がありました。筆者の友人の義理のお母さんが、急逝されました。そのお母さんとおっしゃる方はまだ50代だったのですが、亡くなったご主人の保険金で、働かずに暮らしておられました。口癖は、「私はあくせく働きたくないから、この保険金で面白おかしく暮らして、お金が無くなった時に死ぬの」

本当に、恐ろしいぐらい、ちょうどその保険金が底をついた時に、心臓発作で急死されたのです。義理の娘である筆者の友人は、「自分で言ってた通りになっちゃった……」と、心底驚いていました。

現金も株もちょうど使い切ったところでしたから、後に残ったのは、住んでいた家だけ。そこで売りに出したのですが、この家を購入されたのは、ある若夫婦でした。
若いのに、何故こんな郊外に住むのかというと、奥さんが心臓が悪くて、療養の為だそうです。先が思いやられて、あんまり考えたくないですね。家相も、見たいような見たくないような……。


小さな家の大きな吉相

どうもまた、暗い話になってしまいましたが、この例などを見ても、やっぱり家というのは、住む人の運命をそのまま反映しているような気がします。
でも、地層のしっかりした交通の便の良い場所に、100坪の敷地……。お手上げになってしまう前に、何とか考えましょう。
そこで、小さな土地しか買えない庶民に、筆者がお勧めしたい方法というか、考え方があります。
あくまでも、これは筆者の考えであり、あなたとは合わないかも知れません。しかし、こういう意見もあるということを覚えておいて頂ければ、何かの役に立つかもしれません。

50坪以下の小さな土地の建築計画を考えている時には、この狭い家で一生を終えることを終世の望みとして、その土地を選んだ方はあまりいらっしゃらないでしょう。
まあ、なんとなく、「自分のできる範囲はこれくらいか」、あるいは「老後に住む場所だけは確保しておきたい」というところでしょう。
このサイトを利用して、建築計画を考えていらっしゃる多くの方は、若夫婦です。これから子供も増えるし、子供が大きくなれば個室も必要ですし、荷物も増えるでしょうし、もっと先には、年老いた両親の世話をする必要にも迫られるでしょう。

そこで筆者は、何はなくとも、風水上、発展性のある相の家をなんとか工夫して建築されることをお勧めします。
それはズバリ、東玄関です。玄関の最高の吉相は、普通は南東とされています。南も吉相ですし、北玄関も小吉です。
もちろん、一番の吉相である南東玄関にできれば、何も無理に東にする必要はありませんが、北や南を選ぶよりも、あえて東を選びます。
東玄関というのは、バージョンアップしてそこから出てゆくという方位です。オーソドックスな玄関の吉方位である南東玄関は、吉相の中でも、そこから物や人の出入りを活発にさせ、中に蓄えるという象意があります。それにひきかえ、東玄関は住む人の活力、アイディア、企画力を、表面に押し出してゆく相です。
自分からどんどん先へ先へと進み、さっさとそこから出てゆくという方位です。これは「一人暮らし・引越編」の中で述べている、ワンルームの相とも共通しています。西のベランダ、東玄関という相です。完全な吉相ではありませんが、発展的に出てゆく相です。

ただし、少々せっかちで慌て者、名ばかりで実がない傾向はあります。これがどう出るかは、各人の本命星との絡みによりますが、じっさい、あまり貯金とか静かで堅実な生活には向かないでしょう。そのかわり、よく友達が集まり、情報の交換が活発で、自分の発展、情報、活動にどんどん投資して、もっと発展性のある仕事に変わってゆくという相です。ひょっとしたら、それは転勤、転職かもしれませんし、自分のアイディア、企画が世に認められるという形でやってくるかもしれません。
あまりお金は残りませんが、自分の覇気と出世のチャンスが、眼に見えない財産として残ります。

あまりに悪い家相の家に住んでいると、泥沼の浮気で愛人のもとに走って家を去ったり、抵当流れになって家を出たり、果てはそのまま入院の為に家を後にする、ということにもなりかねません。東玄関であれば、同じ家を出るのでも、バージョンアップして出る訳ですから、良かったね、という出方です。


変化技の注意点……よく読んで

ただし、注意して欲しいことは、これはあくまでも家全体に致命的な欠陥がないことが条件です。北東が欠け込んでいたり、あちこちが極端に変形していたりすると、東玄関の良い意味は出ません。
また、周囲の家並みとの関係で、どう見ても道路が西にあるのに、無理に東玄関にすることはできません。無理に反対にすると、周囲の流れに逆らった逆相となり、かえって凶相になってしまいます。ですから、最初から無理なく東玄関にできるような敷地を選びましょう。

この案を採用する際には、注意して欲しいことがもう一つありあます。
小さな家では水場の比重が大きいので、完全な吉相にすることは不可能です。普通はどうしても南側の日当たりを重視すれば、北側が水場になってしまいます。
この場合、水場の部分だけを思い切って張り出しにしてしまいましょう。敷地いっぱい可能な限り長方形、正方形で間取りを取ろうとすると、そのままでは水場部分は欠けとなってしまいます。ですから、そのぶん、他の部分を縮小して、建坪を減らしましょう。
損をするようですが、何もかも欲張っても、それは今のところ不可能です。だったら、致命的な欠陥がなく、東に吉相を持った小さな家を建築しましょう。その家にはあなたが発展的に出て行った後、別の人が住み、また発展的に出てゆくでしょう。前記の心臓病の夫婦のようなことにはなりたくないものです。


業者、風水師とのつきあい方

この場を借りて、上手な風水鑑定の受け方、業者との付き合いかたを少し考えておきましょう。
よくあるケースで、風水師が全て間取を書いてくれるかのように思っていらっしゃる方もありますが、私のサイトではあくまでも、現在あるモノに対して、風水的なアドバイスをするだけです。
建築設計事務所と風水師を兼ねた業者もありますが、両方の専門分野でしっかりした人を探すのはかなり難しいでしょう。それに、両方兼ねている場合はほとんど、基本料金+坪当たり○万円という料金が普通です。

風水師が建築計画に参加する場合、建築士でもない者があまり細かい部分の間取りまで指定すると、生活動線などの問題で、かえって使い難いものが出来てしまいます。業者の方も、素人の第三者があまり細かいところまで口出しすると、良い気持ちはしないでしょう。「専門のことは専門家に任せてくれないか」と思うか、それとも「そんなに細かいところまで口出されたんじゃ、やり難くてしょうがない。だったら、全部自分で決めてくれよ。とんでもないものが出来たって知らないから」ということになってしまう可能性さえあります。

特に筆者は、あまりこと細かく人に指図するのもされるのも好きではなく、ポイントを要領良く伝えて、それさえ押さえてくれれば、後は専門家に任せて、良いように取り計らって貰う、という方針が好きです。筆者ならずとも、多くの風水師がそうではないでしょうか。
第一、細かく間取を指定しても、そう都合よく寸法がはまらないでしょうし、使える部品は決まっている筈です。簡単な模様替えさえも、動かしてみたら、家具の寸法が少し違った、ということになりがちです。
予算の関係からも、完全な注文住宅というのは少なく、一定の規格内で造られた部品を組み立てるケースが多くなります。せめて、オプションの選べる物件だとまだ良いのですが。
この辺は社会人として、もののバランスを見ながら業者との連携を取って行く、施工者自身の腕の見せ所でしょう。
何事も、結局はすべて人間がやっていることです。何か要求するにも、ポイントをしっかり伝えて、予算を上手に使いながらスムーズにことを運ぶ施工者に対しては、業者も気持ち良く協力してくれるでしょうが、「言うだけのことは言わなければ損」というやり方には、やはり人間ですから、事務的になってしまうのではないでしょうか。
いやに現実的になってしまいましたが、庶民の小さな家であっても、夢は大きく持ちましょう。また、出だしが肝心ですので、これから建築計画を立てる人は白紙から、つまり土地を探す方位と時期から慎重に計画してください。


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