このサイトではこれまで、メルカトル図法の地図による方位の見方が全く間違っていることを再三述べてきました。
この反応が予想したよりも大きく、いろんなお便りを頂きました。
中でも唖然としたのは、このメルカトル図法で見た方位に従って、アメリカは東、ヨーロッパは西と思って吉方のつもりで旅行したところ、その後悪運が続き、あまりに悪いことが重なるのに疑問を抱いて調べていた…、という方が続出したことです。
この点について、詳しく知りたいという方もいらっしゃるので、ここで再度解説することにしました。
少し長いですが、この章だけで方位に関する要点はほとんどまとめてありますので、他の章をお読みになった方でも、もう一度じっくり読んでごらんになることをお勧めします。
ただし、上記のように、方位を間違って見たために凶方位へ行って悪運に見舞われた、という方には、あらかじめ申し上げておきます。
人間には常識もありますし、第六感というものもあります。
種々雑多な情報の中で、何が正しいか、間違っているか取捨選択するのは、あなた自身の責任であり、また眼に見えない徳の力といっていいでしょう。学歴とか社会的地位とは、別の物です。
棚ボタ式の欲でもって人を釣る情報には、それに見合った人がとびつきますし、本物を見分けるのは、自分が本物にならなければなりません。運を開くなんて、そんなに簡単なことではないのです。
関連したことを「幸の素・不幸の素」などでも少し述べていますが、これまでの知識が間違いだということを知ったということは、あなた自身も眼の曇りが晴れて、ワンステップ向上したということです。潔く出直しましょう。
このサイトのタイトルである風水学とは、陰陽五行学の一種です。
天地に漲る自然のエレメント(要素)を見極め、その働きと現象を人間の生活に生かす学問です。自然のエレメントとは、大きく分けて陰陽五行(木火土金水のそれぞれ陰と陽)に分類されます。
東洋学の中で、風水学と同じく陰陽五行学から発生したものに「気学」があります。これは中国発祥の風水とは異なり、移動の方位の吉凶を見るものです。
風水学と気学は、本来は別物ですが、陰陽五行学から派生したという点では仲間です。
このサイトでは、その両方を取り扱っていますが、どちらかに傾くわけでもなく、どっちが重要だ、本物だ、という立場は取っておりません。
陰陽五行学を運命学の立場で使えるように、というのが目的で、言うなれば「タオ流」です。
気学では本命星を用いますが、風水では本命卦を使うように、前提となるものが違いますし、方位に関しても、中国本土と島国である日本では、現象が違います。従って、以下で述べる「方位」については、移動の方位に関しては従来の気学、家や土地の記述に関しては、タオ流にアレンジした中国風水と日本家相が混じっている、と解釈して頂いて結構です。
方位には、2種類の見方があります。一つは、何年経っても北の方位は永久に北であるように方位は決まっていますが、これを定位(じょうい)と云います。
もう一つは、毎年、毎月、毎日変わる盤(遁甲する盤)で、これは天の星が循環するように、地の星の循環を見極めるものです。この二つの盤(定位盤と遁甲盤)によって気の流れとその働きを見極め、生活に生かしてゆくのが気学です。
ここで述べる地図上の方位とは、前者でいう「永遠に定まった方位=定位」のことです。
ある場所がある場所から見て、どの方位になるかという点ですが、方位そのものについては、占いだからといって北が南になってしまうようなことはありません。方位のことを知るには、まず地図に関する正確な知識が必要です。
地図というのは、地球の形状を平面上に映し取ったものです。
ですが、地球は球体(正確にはやや東西に長い楕円形)であり、これをそのまま平面に映すことは不可能です。そこで、用途に応じていろんな方法が考えられました。
この、地球の形を平面に写し取る方法を投影法といい、考案した人によって、何十種類もの方法があります。その方法によって一長一短がありますので、目的によって適当な方法を選ばないと、正しい結果は得られません。
地図はその性質によって分けると、大きく二種類に分類されます。
1、正積図法グループ(面積は正しいが、中心から離れるほど形状のひずみが大きくなる図法)
2、正角図法グループ(経線と緯線が直角になるが、距離、面積、方位は大きくひずむ図法)
これはかなり乱暴な分類のしかたで、専門家から見れば異論もあることでしょう。しかし、このサイトでのテーマに添って解説しやすくするため、あえてこの分類法を取りました。他の分類のしかたもあります。
このうち、方位の正しい地図は、正積図法グループに属します。代表的なものに、ランベルト正積図法、正距方位図法などがあります。なぜ、方位を見る地図が、「面積の正しい地図」に属すのかというと、これは距離、面積と方位には、密接な関係があるからです。
各図法には複数の要素が絡みあっています。後に述べるように、ある地点からある地点への方位を見る場合には、最短距離の方角で方位を見なければなりません。
二つの図法の特徴を、じっさいに地図を見て理解してください。
まず、下に3種のグリーンランドの地図があります。これはいろんな正積図法で描いたものです。すべて面積は同じですが、投影法によって、似ても似つかない形になってしまっています。正積図法の特徴です。
なぜグリーンランドを取り上げたかと言うと、極地に近く、図法によって最も形状の違いの著しい例だからです。
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次に下図で、二つの場所を、正積図法と正角図法で表してみます。グリーンランドとアラビア半島という、比較的近い面積を持った半島です。
この二つが良い比較の対象であるのは、実際の面積が割りに近いにもかかわらず、グリーンランドは極地にあって図法による面積や形状の違いが著しく、アラビア半島は赤道上に近い位置にある為に、図法によるひずみがそれほど大きくないからです。
下図上段が、正積図法によるグリーンランドとアラビア半島です。両者の面積には、極端な違いは認められません。どちらも、本来の面積比率に近い結果で描かれています。
ところが、下図下段の正角円筒図法(メルカトル図法)による、グリーンランドとアラビア半島を比べてみてください。
北極点に近いグリーンランドは極端に面積が拡大されていますが、赤道に近いアラビア半島は、逆に少し縮小されてしまいます。メルカトル図法ではこのように、面積のひずみが大きいのです。
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一方、投影法から見ると、地図はだいたい3種に分類されるといって良いでしょう。
代表的な三種の投影法とその特徴、それによって作成した地図を次に示しました。
他にも二つの投影法を取り入れた「擬図法」がありますが、今回は取り上げません。
1、円筒図法グループ:(経線と緯線は直角になるが、北極、南極近くの距離と面積は大きく伸びる)
2、方位図法グループ:(方位は正しいが、中心から離れるほど形状がひずむ)
3、円錐図法グループ:(面積や角度のひずみは最も小さいが、地球の半分程度しか投影できない)という特徴があります。
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上記の三種の図法も、投影面を地表に接触させる方法、あるいは地表から少し下げる(地下に潜り込ませる)方法などがあります。これはひずみを少しでも少なくするためです。方位に直接の関係はありませんが、参考までに一種類だけ図示しました。地表に接触させる方法を接図法、地表下に下げる方法を割図法といいます。
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これらの作図法によって、地図の形状は大きく異なってきます。
特に、方位を判断するときの問題は、方位図法以外の投影法で作った地図は、赤道線上以外では、北極、南極へ近づくほど面積の違いが大きくなることです。
一番最初に、正積図法と正角図法の違いを、グリーンランド、アラビア半島を例に取り上げました。このことにこだわったのは、方位は距離、面積と密接にかかわりがあるからです。
面積が違うということは、距離もひずみが大きくなり、後に述べる、正しい方位角が計測できなくなります。
メルカトル図法で広い範囲の方位を見ると、北極、南極に近づくにつれて極端に面積が引き伸ばされます。
点であるはずの北極点、南極点が、水平線になって長く伸びています。当然、南極と北極近くの面積も、実際よりもかなり誇張されることになります。
試しに地球儀が手元にあれば、メルカトル図法の地図と南極大陸の面積を比べてみて下さい。
面積が拡大されるということは、とうぜん、距離も実際よりも引き伸ばされます。これは方位を見る上においては、大きな問題となります。
それは、次に述べる「方位角は最短距離と密接な関係がある」ためです。
方位(方位角)とは、ある場所からある場所への角度をいいます。正確には次のように定義づけられています。
★方位角とは、地球上でA点からみたB点の方向を表わす角度です。A点とB点を結ぶ「大圏コース」が、A点を通る経線と交わる角度のことをいいます。北を0度として時計周りに計ります。
A点を中心にした方位図法では、すべての方位を直線で表すことができます。
ここで注意してほしいのは、赤道上以外ではA点とB点が同じ緯度でも方位角は90度あるいは270度にはならない点です。
もう少し、噛み砕いて説明してみましょう。
例えば、A点からB点への方位を見る場合です。前提として、「A点を中心とした方位の正しい地図」が手元にあるものとします。方位の正しい地図は、見慣れたメルカトル地図とはずいぶん形が違いますね。
この例では、東京を中心としてニューヨーク付近への方位を見てみます。
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1、まず最初に、基準となる「A点を通る経線」(青で表示)を確認しておきます。これは北極・A点・南極を結ぶ縦線で、直線になります。
2、次に、「A点からB点への地球の表面を通る最短距離」を探します。(これが大圏=青線で表示)これも方位地図では直線です。
3、最後に、その最短距離ルート(作図上は直線になります)が、A点(起点となる場所)を通る経線に対して、何度の角度になるかを調べます。時計回りに図ります。これが方位(方位角)です。
上の東京=ニューヨークではだいたい45〜6度で、下の「ロスアンゼルス=東京」では約312度になりました。
気学による方位の区切りでは、東京=ニューヨークは北東、ロスアンゼルス=東京では北西となりますが、この問題は最後に述べます。ここでは、地理学の定義と正確な方位角を知るのが目的です。
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以上が科学的な「方位の定義」です。よく確認して下さい。
蛇足ですが、「科学的」という意味は、「この定義の通りにすれば、誰が何回その計測を繰返しても、同じ結果が得られること」を言います。占いだからといって、カンや思想などによって方位が変わるわけではありません。
飛行機の運行も、すべてこの方法による方位の定めかたで行われています。
もう一度言いますと、メルカトル図法の地図のように、緯線、経線とも直線に引き伸ばしてしまうと、北極、南極に近づくほど面積と距離のひずみが大きくなります。
方位角とは最短距離ルートと密接な関係がある、ということを思い出してください。
距離が正確でない以上、方位にもひずみが出てしまいます。
この問題を作図上の観点から、もう少し詳しくみてみましょう。
問題は、極地(南極と北極)と赤道上以外の地点から、各地への方位を見る場合です。
ある場所を中心に設定するということは、投影面と軸の角度をどう決めるか、という問題につながります。
地球の中心軸に対して、投影面をどう設定するか、これには3種類の方法があります。
1、正軸法=投影面の軸と地軸が一致するのが「正軸法」です。一番多く使われます。わかりやすくいうと、北極と南極を中心にしているわけですから、当然、軸は真っすぐになります。(偏差角の問題は後に回します)
2、横軸法=投影面の軸と赤道が一致する図法です。赤道に沿った地域ではひずみが小さくなります。これは赤道を中心にしているので、赤道上のどこを中心にしても軸は真横になります。
3、斜軸法=投影面の軸が赤道、北極、南極いずれにも一致しない図法です。北極、南極、赤道以外のある場所を中心にして、正確な距離と方位を測定したい時に、この方法を使います。コンピュータを使わずに作成するのは、非常に困難な図法です。
参考までに、投影軸の違いによって、経線と緯線がどんな形状になるかを示しました。
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また、方位の正しい地図といっても、厳密にいえば、これにも二種類の作成のしかたがあります。
一つは、ある一点からすべての地点への方位が正しい地図、
もう一つはA点からB点を見たときの方位と最短距離が正しい地図です。
これは地図の縮尺と、計測する場所の緯度、経度によって、どの方法を取るか決定するのが本当なのですが、そこまで判断するのは専門家でなければ、なかなか困難なことです。
私たちが地図を作成する時には、出発点と目的地をカバーする適度の縮尺で、いわゆる方位図法といわれるものを使えば大丈夫でしょう。
注意点として、なるべく、必要以上に広い範囲を投影しないようにしたほうが良いでしょう。
もう一度、東京を中心にした地図を作成してみます。ランベルト正積方位図法です。
東京は赤道上でも北極、南極でもありませんので、斜軸法を用います。東京からロスまでは、完全に北東になります。北アメリカのほとんどが北東です。
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次に参考までに、メルカトル図法の地図で、東京からロスまでの線を引いてみます。
この二つの地図を比べてみると、方位が全く違うことがわかります。
上の方位図法では東京からロスまでは完全に北東ですが、下の図(メルカトル図法)ではほぼ真東に見えます。ですが実は、大圏コースと書いてある赤い線が、先ほど述べた最短距離の航路=正しい方位です。
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方位角というものは、最短距離を基にして計測されます。(方位の定義を参照して下さい)距離と面積のひずみの大きい地図で、方位を確定することはできません。極地へ近づくほどひずみが大きくなってしまいます。
そのため、赤道上以外では、「起点となる場所を中心とした各地への最短ルート地図」をその都度作成しなければ、正しい方位を知ることはできません。
したがって、メルカトル図法の地図に直線で方位の線を引くと、赤道上以外では目的地とは全く違う場所に行ってしまいます。
これらの問題は、占いの本であっても、正しい研究を行っている団体で出版している本は、正しい世界の方位を掲載しています。ただし、まだ方位についての解説は不十分で、メルカトル図法の地図に、曲線で方位の分界線を引くだけが精一杯のようです。東京以外の場所から方位を見ることは不可能ですし、またその方法も書かれていません。
以上、少し複雑だったかもしれませんが、次の点を整理してください。
1、方位を見るためには、地図学の定義をはずさないこと。
2、地図には、用途によって何十種類もの作成法があり、目的にあった地図でなければ正しい結果を得られないこと。
3、ある地点からある地点への方位を見るには、必ず「その地点を中心にした方位の正しい地図」を作成しなければならないこと。
4、「方位の正しい地図」とは最短距離ルート地図と一致すること。
日本地図ぐらいの範囲ですとそれほどひずみは大きくはないのですが、海外旅行の方位を見るとなると、ひずみが大きくなりますので、必ず「方位の正しい地図」を作成しなければなりません。
また、次の点にもじゅうぶん注意してください。
出発点と到着点では方位が違うことがあります。これは、出発点と到着点の緯度、経度が違うためです。例えば、東京から福岡を見るとほぼ西ですが、福岡から東京を見ると、北東になります。
この章では触れていませんが、磁石の北と実際の北とは完全には一致しません。地軸と北極点が少しずれているためです。
明石で約6度、時計回りに修正しますが、場所によって修正する角度は違ってきます。これを「偏差角」(偏角)といいます。この点については、「磁石と地図の基礎知識」(方位地図ライブラリ)を参照してください。
※ただし、市販の地図は既に修正済みですので、北の印のあるほうが、実際の北です。
※また、磁石は作られた場所によって、「伏角」というものがあり、作った場所と違う場所で使いますと、ほとんどの場合、針が水平になりません。ですから、日本で使う場合は日本製品をお勧めします。
最後に、風水や気学の方位を見るために、最も大切なことを述べます。
以上の地図学上の解説は、ある地点からある地点への方位を定める場合に、「○度」という正確な決定をする為のものです。これは例えば、飛行機の運行には利用できますが、「○度」というのが、風水や気学で言う北に入るのか、北東に入るのか、吉方位なのか凶方位なのか、という問題とはまた別ものです。
じつは筆者は、風水や気学の方位を定めるのは、地球上では限界があると思っています。
例えば、日本からブラジルとかアフリカ大陸、アメリカ東海岸からヨーロッパぐらいの遠距離で、方位地図に分界線を引いて東とか北東と定めて吉凶判断するのが果たして正しいのか、疑問を感じる方はいらっしゃらないでしょうか。
東に行ったる積もりでも、ぐるっと回れば西ですし、北半球では北に行くほど寒くなるのに、南半球では赤道までは北に行くほど暖かくなります。これでは風水や気学の概念というものは、意味をなさなくなってしまいます。
よく知られるように、北極点近くでは磁石は役に立たなくなりますが、こんな場所で風水でいう坎宮(北)とはいったいどこでしょう?
ただし、風水も気学も、成立した時点での認識が永久に通用するものであり、それは宗教である、とされる向きは、このサイトの記述を気になさる必要はないと思います。
現在のところ、中国で生まれた陰陽五行八卦というものは、あくまでも北半球の温帯地方を中心にして、方位の判断のできる範囲も、地球の半分程度に留めておく方が安全、という立場を取っています。
具体的には、方位の判断ができるのは極圏あるいは南北回帰線までが限界としています。
この点については、インターネット上で公開している風水サイトにとっては甚だ残念ですが、世界各地で生活していらっしゃる方の情報も期待したいところです。
投影法などについては「世界地図作成ソフト・Ptolemy」(世界地図を作ろう)のサイトで詳しく述べられています。
地図ギャラリー、地図関連サイトのリンク集もありますので、一度覗いてみてください。
(2000年頃記述)
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