「熊の穴」

南北相法1:手は枝ぶり


今回は、割と真面目な話なので、雲切童子のおふざけ抜きでいきます。
人相を実際に見てもらう段になると、童子にもモデルとして活躍してもらいますが、いつもいつもふざけていてはちょっと五月蝿いので、今回はまず「南北相法」そのものに触れ、それをタオが少し補足します。

たぶん南北相法というので、人相の話かと思っていらっしゃった方もあるかもしれません。もちろん人相が中心ですが、運命学で言う「人相」とは、顔の相だけではなく、もう少し幅広い内容を含みます。
仙道五術の運命学部門に「命」「卜」「相」があることは、読者の方はご承知だと思いますが、「相」には人相、手相、骨相、姓名判断(名前の相)家相、風水など、形のあるもの…仏教で言う色(しき)は全部入ります。

このうち、広義の「人相」には、顔の相、骨相、手相、体格、声、話し方まで含めます。髪の毛や爪も入ります。応用編として、服装や立ち居振る舞い、飲食物の好みや摂取のしかた、運動のしかたまで参考にします。

人相はなかなか、幅も広く見る項目も多いので、今回は初心者向けに、手相の話を少しします。
手相というと、みんな生命線がどうだ、頭脳線がどうだ、運命線がどうだ…、せいぜい指が長いとか短いとか、そっちのほうに傾きがちです。これは樹を見て森を見ないにも等しいので、そういう根幹部分を、まず正すことが目的です。人間は丸ごと。南北相法の素晴らしさも、そこにあります。
ただし、いくらここで詳しく書いて知識を仕入れても、実際に観れるかどうかは別で、人相の難しさはそこにあります。肉が薄いとか厚いとか、むくんでいるのか肉付きがいいのか、これ以上なら出っ張っているとか引っ込んでいるとか、大きいほうなのか小さいほうなのか、こればかりは本を読んで幾ら勉強しても、なかなか実際には判断がつきません。これは経験を積んでいただくしかありませんが、まず、できるところからお勉強しましょう。


南北相法より:手と身体の関係


干支…ではなく、幹枝の関係ですね。占いというのは、どんな占いで観ても、わりと似た結果が出るものですが、人相と手相の関係も同じだということです。
しかし、あくまでも身体が幹で、手が枝。手の筋は、枝についた葉っぱの葉脈のようなものでしょうか。身体が健全でスクスクと育っていれば、葉っぱの葉脈も太くくっきりスンナリ伸びており、幹がひねこびていれば、葉脈も変に曲がっていたりしなびたり途切れたりしているということでしょうか。
でも、いったいどういう風にそれを判断すればいいの?

まず、手と指の基本があります。図を見て下さい。これは、手のひらと5本の指で、自分と他人の関係を見るものです。
親指=親人指(人指し指)=他人中指=自己無名指(薬指)=身内小指=子孫と見ますので、この原則にのっとって、指と指の関係によって自分と家族や他人の関係を見る方法があります。
まず、手を出してもらうのが先決問題です。手を出す時からもう既に判断は始まっているので、何となくボーッと見ないように注意していて下さい。


南北相法より:手のひら全体


油断大敵……。手を出すその”出し方”で既に、手相見が始まっています。
血液型の判断で、「あなたの血液型は?」と聞いて、あっさり教えてくれる人と、「そんなこと聞いて何に使うんですか?」と、やたらに警戒してなかなか教えてくれない人がいますが、手相も似たようなところがあるのですね。

指が離れている場合、くっついている場合

南北相法より:親指と人指


南北相法より:人指と中指


南北相法より:中指と無名指


南北相法より:無名指と小指

指の根元が透いている場合、くっついている場合


南北相法より:手のひらと、すじ



指の形と職業・右手と左手

指の形は大人になると、人それぞれ職業上の癖がついてきます。以上にある指の形による判断は、あくまでも先天的なものだそうです。
手や指に癖のつくような事をしている人は、それを割り引いて考えねばなりません。初心者はまず、若い人で手や指にまだ癖のついていない人で基本的なことを見る練習をしたほうがいいでしょう。
筆者も剣術をやってると、左の小指に力を入れて常に握り締めているので、中に巻き込んだ形になり、もう真っ直ぐに伸びません(笑)

みんな、見てもらうとなると、ある程度緊張するので、次のような方法があるそうです。まず手を取って、手首の少し上のほうをまさぐるような感じにみせかけて手から注意を逸らし、その間に指と手のひらを見るそうです。
このような見方をする占者には、「あなたそれ、南北相法に書いてあったやり方ですね」と言ってあげましょう(笑)


手の五行と五徳

親指=木・仁

Q:親指をさして「仁」とするのは何故でしょうか。
A:親指は、他の四指によく運んだり養ったりすることができる。その故に仁とする。
Q:親指を「東・木」とするのは、何故ですか。
A:太陽は東から登って万物を恵み養う。また木は自然に生え育ち、人間を助けることに専念する。従って、東木は仁に等しいのである。

人指=義・金

Q:人指を「義」とするのは何故ですか。
A:眼前にあって確実なものを指すのに、人指を用いる。その正しさが義に値する。
Q:人指を「西・金」とするのは何故ですか。
A:金は正しく純なるものであり、当然義に相当する。

中指ー礼・火

Q:中指を「礼」とするのは何故でしょうか?
A:中指は五指の中央に位置し、他の四指の交わりに対して、正しく己を後に侍して礼儀を心得ているからである。
Q:中指を「南・火」とするのは何故ですか。
A:南は君子の面する方位であり、火に等しい。その徳は日々に応じて広がるので、貴賤共に一日といえど礼を欠かさず、これに応えるのである。

無名指=智・水

Q:無名指を「智」とするのは何故ですか。
A:手で何かする時、また手中に物を把握する時、みな無名指が中心的な働きをする。当然、智の働きに等しいといえよう。
Q:無名指を「北・水」とするのは何故でしょうか。
A:北方の水は陰であって夜に対応する。また陰は静寂であってその中からよく物を生ずるから智に等しい。これまさに自然の妙であり、智が無から生ずるのも陰が智を司るからである。他のこともこの理に従って考えるとよい。

小指=信・土

Q:小指を「信」とするのは何故ですか。
A:俗に、誓いごとをする時小指を切るが、これは小指が信を示すからである。
Q:小指を「中央・土」とするのは何故ですか。
A:土は万物の母である。おのずから万物を恵み、誠心誠意を尽くすのも当然である。従って土を信とするのである。

信と仁

Q:親指と小指は、何故仁信となるのでしょうか。
A:親指と小指は五指の両端に位置して、陰と陽をあらわす。これは一家の父母に等しいのであって、父母の仁信に優るものはないことを考えるとよい。また人指、、中指、無名指の三指は父母の間にあって三陰三陽の子に相当する。それぞれ三段の順で長子、中子、末子である。従って、子は父母に対して礼儀を守り、また父母の為に智を働かすのであるが、これは子たるものの当然の道であろう。



人間の手のひらを。小宇宙と考え、陰陽五行の理論からその働きを考察したものですね。手の指は五本、と普通は決まっているけれど、そこに陰陽五行が当てはまるのは初めて気づきました。
また、儒教まできちんとてのひらに該当するのには、感心するやらおのれの不勉強さに気づくやら…

これは、若い人には少し解説が必要かもしれません。最近はゲームにまでスピリチュアルな要素が出てくるので、たぶんご存知かもしれませんが、「仁義礼智信」(じん・ぎ・れい・ち・しん)は儒教の根本思想で、人間の最も大切な「五つの徳」のことです。
南総里見八犬伝」は少し日本風にアレンジして「仁義礼智忠信孝悌」(じん・ぎ・れい・ち・ちゅう・しん・こう・てい)になっています。

手相の勉強するにも、生命線がどうたら、結婚線がなんとやら…ばかりでなく、おテテを眺めて、「あら、少し中指が曲がってるので、礼儀が足らないのかしら…そう言えば私、ちょっとルーズだし…」とかオノレを振り返ってみるのも、立派な人相学の一環だということですね。

うーん、奥が深い…中指の話が出たついでに、一言アドバイス。
中指は、いわば手のひらの背骨です。背骨をおのれ自身、礼、君子の位とするならば、いわば中指は人生への取り組み方、その姿勢をあらわすものだとも言えます。
体の背骨、曲がってませんか?
背中の丸まってる人は、出世しませんよ。男性ならば背筋の伸び方、姿勢は、イコール社会的地位です。女性ならば、背筋の伸び方で良家に嫁ぐことができるかどうかが、分かります。姿勢が悪いと、位の高い立派なハズバンドに縁が出来ませんよ。

今日は、手のひらが暗示する、その人の小宇宙、五常の徳のお話でした。


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