家への執着は運命の呪縛?


こんにちは。前、ご相談させていただいた○○です。……略……。
「マンション派と一戸建て派」の話は、自分の経験とも照らし合わせ、特に興味深く読ませていただきました。

個人的な話で申し訳ないのですが、私の家はかつては東京の一等地に、わりと大きな家を持っていました。が、バブル崩壊の折り、事業がうまくいかなくなり、家を手放しました。家を手放すまでは、それを失うまいと必死で、もし失ったらどうしようと、そればかり考えていました。
が、その後、借家に移ったらそこがとても日当たりの良い、いい家で、前の持ち家を家族みんなが客観的に見られるようになりました。「あそこにずっと住んでいたら、わからなかったことがいっぱいあるね」という、言ってみれば執着が一つなくなって、すっきりした気分になったのです。

が、やはりまだ一戸建てへの執着は捨てきれず、なんとか新しい土地つき一戸建てを買うという思いをみな描いていました。が、私は全く別の理由で思うところあって、1999年からマンションで一人暮らしを始めてから、一戸建てへの執着は無くなってしまいました。それどころか、マンションにしても何にしても、「住を所有する」ということについての執着が薄れ、賃貸暮らしで身軽なことの良さがわかるようになってきました。
賃貸住宅だとしても、私の住環境であることにはかわりなくて、それを大事にしたい、という思いは強まる一方、「賃貸から脱却!」のような発想は無くなってきました。

おもしろいですね。人間の考え方って本当に変わりますよね。私がずっと持ち家で暮らしていたら、持ち家に対する執着から逃れられなかったでしょう。だから一戸建て派が風水診断のいうとおりにしない、というのもなんとなくわかるのです。
私もすこし落ち着いたら、改めて風水診断をしていただきたいと思います。なにしろ賃貸ですから、「だめ」ということになればすぐに移れますから。
これからもHP、楽しみにしています。」
「東京都在住のミエさんより」

これは、この方からわざわざ、「私の体験の中で、少しでも皆さんのお役に立てることがあれば、使って頂いて結構です」とお断りを頂き、読んだ私も、これは本当に体験した人でないと分からないことだな、と感じた次第です。

本音を言えば、こんなことを言う筆者だって、余裕があればゆったりした一戸建てに住み、広い庭で花造りもしてみたいし、大型犬に運動させたり、たまには友達を集めてバーべキューを楽しんだりもしたいですよね。親にもゆっくりさせたいから、そのためにはきれいなお風呂とか、エレベーターもつけたいし。
でも、その為には、関東近辺ではどれぐらいの予算が必要でしょうか。それも、全くゼロから、自分の働きだけで手に入れるには……。
またそれ以上に、そんな家に住んでゆったりして、あくせく働くだろうか……?という疑問もあります。今のような向上心、志を持ち続けることができるだろうか……、その方が本当は心配です。人間、そんなに強くも立派でもありません。ハングリー精神がなくなったら、われわれ凡人はただ堕落あるのみ、という可能性が大です。小人閑居して不善をなす、ですか……。

それどころか、小さな住み心地も良くない家を無理してローンで買って、人生の究極の目的が住居の取得になってしまっている人の何と多いことか。
じつに多い例ですが、離婚したくて仕方がない、どこからどう見ても離婚必至の夫婦なのに、家のローンに縛られて、法律的には離婚できない、そこで家庭内離婚という仕儀にあいなるわけですが、これから人生計画を建設しよう、という方々には、こんなことにはなって欲しくないですよね。
また、中小企業の経営者によくある例で、豪邸を建設した途端に、家業がみるみる下降線を辿る……というケース。そんなところでエネルギー使い切ってしまっちゃ、しょうがないでしょうに。住宅雑誌の特集にノセられることなく、慎重にして頂きたいと思います。

ですが、家への思いというのは、何と強いものがあるのでしょう。土地、不動産、自分の家……。
冷静に考えてみれば、土地というのは誰のものでもない筈です。土地というのは、本来は自然界に属しているもので、人間が勝手に「ここからここまでは私の領分」と決めているだけです。「ひとごとだから」と思われるかもしれません。
ですが、いったん自然の猛威に見舞われた土地を見てください。ここはいったい誰のものだったのだろう、と思わずにはいられません。人間は自然から土地を借りて使っているだけです。天地自然が駄目だと言ったら、いくらお金を払っても、土地を使うことはできなくなります。そのくせ、人間の傲慢さは留まるところを知らないのですが。

しかし、土地はモノを生み、人を生みます。土地柄、地質、ルーツ。根っこを失った、デラシネ(根無し草)は悲しい。だから、あなたを、私を、みんなを育てた土地に、しっかりと根っこを下ろした人間になること。それは小さな建売住宅に限らず、どこにあっても良いではありませんか。小さな夢ではなく、大きな夢を持ちましょう。そしたら自然と、それに相応しい家が、運命の手で用意されるでしょう。

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