有機農業の光と陰


ゆきさんの畑・エンドウの花
私は夫と一緒に無農薬有機栽培農家を志して、日々試行錯誤を繰り返している主婦です。
手取り足取り教えてくれる人もいないので、本当に自己流で手探りの毎日です。 私たちが無農薬有機栽培を始めたのは、四人目の子どもがお腹に入ったころでした。
それまでも環境ホルモンや電磁波に敏感になっていた私たちは、シャンプー・リンスや歯磨き粉までも指定成分無添加のものを選び、電磁波がこわいとホットカーぺットまで処分してしまっていました。
なによりも、子どもたちへの影響をとても心配していたのです。もう大人になってしまった私たちより、これからどんどん細胞を増やして育って行く子どもたちには、化学的な外圧はどんなに強い影響を与えるか、想像もつきません……。

現実に、周囲には不妊症の方が増えていて、新聞では調査した結果、精子の数が少ない男性が増えていると書かれていました。これはただ騒いでいるだけのデマとはわたしには思えませんでした。 私は自分の子どもたちは「自然に育てたい」と思い、まず夫と二人、幼稚園から貸してもらえるわずかな土地で、家庭菜園を始めたのです。全ては、安全な食物を子どもたちに与えるためでした。実際に始めてみると、大変ですが楽しい作業です。 農家の知り合いなどがいなかったため、本を読み漁る毎日でしたが、そのうちに 「食料危機」という言葉をよく目にするようになりました。このままだと地球の土壌はどんどん痩せて、食べ物が作れなくなって食料危機に陥るというものです。
四人の子どもを飢えさせたくない!
思いは切実でした。折りしもテポドンが日本上空を通過、戦争説まで出ていたときのことです。そんなことになったらお金なんて会社なんて何の役にも立たない……
わたしたちはそこで、農家を目指すことを決意しました。

農家を目指すのに最初必要だと思ったのは、土地でした。どこに買えばいいのか、いつ買えばいいのか……。
サラリーマンから農家への大博打を打つのですから、これは並大抵のことではありません。購読するようになった就農に関するメールマガジンの中にも、あまりわたしたちを勇気づけてくれるようなことは書いてありませんでした。
そのうち、好きなネットサーフィンをしながらふと浮かんだのが、風水のことでした。まだ何の方向も決まっていないうちに、鑑定してもらおう!わたしは単純にそう思いました。
でも実際にいろいろと検索するとたくさんのサイトがあって、どれが信じられるかわかりませんでした。 ひとつずつ開けながらこちらのサイトに辿り着き、内容を読むうちに信じるに足ると思い(直感のようなものもありました)、鑑定をしていただきました。
それがご縁となって、何度もこちらに足を運んでは、いろいろとご助言をいただいています。

鑑定結果に基づいてわたしたちは土地探しを開始しました。そして立ちはだかったのは、既存の農家のかたがたの考え方でした。やはり先祖代々受け継がれてきた土地を譲ることは、とても勇気のいることでしょう。そこへ無理を言って貸していただいたとしても、定着した頃に返してほしいと言われてしまう可能性もありますし、軽軽しく土地を借りることもできません。
メールマガジンのほうにもそういった現状と、売りに出ているものはいわくつきであったり、何か問題があって手放そうとしているのがほとんどだと聞くと、もう手も足もでないと感じました。

菊葉に花が咲いた
そんな時、主人が市の主催する農業基礎講座に通いはじめました。そこで主人は、法律では農地と認めるのは五百坪ぐらいからで、それ以下は認められず宅地になってしまうのでお金がとてもかかってしまうという現実を知りました。 そして、備品などを入れて、新規就農には一億円ものお金が必要で、そして農家は決して儲かるとはいえないので、食べて行けるかどうかも不安だということも……。

ここで私たちは完全に打ちのめされました。やはりサラリーマンはサラリーマンでいたほうがいいのか、自分たちだけ安全な物を作って食べていれば、それでいいのか……と。
そこで目に入ったのは「EM法」というものでした。それまでさんざん勉強していたことでしたが、そのとき気がつきました。 この方法は確かに即効性はなく、すぐには効果のほどはわかりませんが、化学肥料を使わず自然の力で土をゆっくりと回復させて行くのに優れた方法だと、私たちは思っています。 このままでは土地がどんどん痩せてしまうのは、ゴミ問題のように明らかなのに、目先の利益と経済的な問題から旧農法から、転換できないのだとわたしにはおもえます。
このEM法がうまく活用できれば、食料危機などなく過ごせるのではないかと、なけなしの使命感に、ひそかに燃え始めた私たちです。
わからないことだらけ初心者の私たちがおこがましいですが、夢を持って、EM法のようにゆっくりと、まずは子どもたちの健康のためにと、運と道を切り開いて行きたいと思います。当分はサラリーマンをやめられそうにはありませんが……。

大阪府在住の「ゆき」さんより

筆者も合成洗剤や農薬が大嫌いで、無農薬野菜を愛好しています。
無農薬野菜というのは、普段は価格は高めですが、天候不順で普通の野菜が全滅、バカ高い時でも、意外と普通に出回っていますね。それだけ、強くて安定供給されるせいなのでしょうか。
「ゆき」さんご一家は子沢山なので、それだけ農薬や電磁波の影響に切実な思いがあるのでしょう、頑張って頂きたいものだと思います。 まあ、あんまり焦らなくても、地道に良いものを作っていれば、消費者もバカではありませんので、将来は、ネットで契約栽培というテもあると思いますが……。たくさん出来るようになると良いですね。

しかしここでも、「土地」の問題が立ちはだかっています。筆者も昔から、農家が農業だけでは成り立たないのでサラリーマンになりたがる、ということは知っていたのですが、最近の有機野菜ブームで少しは事情が変わったのかとノンキに構えていました。
農業を自分ではやりたくないのに譲るのはイヤ、おまけにそれを、痩せた土地をさんざん苦労して生き返らせた頃に「即刻返せ」、なんて残酷なことはなさらないでしょうね。

知れば知るほど、農薬や化学薬品の影響は留まるところを知りません。これが知らず知らずのうちに土地に蓄積されて、ミミズは死に絶え、土は固くガチガチになって、近い将来、日本の国土は不毛の地になってゆく。そんなことになる前に、ゆきさんご一家のような方が増えてくれるとどんなに良いか。
電磁波の方も怖いです。筆者もとっくの昔にホットカーペット、電機アンカは処分してしまった口で、今は湯たんぽの愛用者。あれっていいですね。ほんとに安眠できます。ハンズで売ってた「ゆたまくら」というのがお気に入り。真中が窪んでて、ほんとに枕みたい。足載せて寝ても、ずり落ちないです。

農薬の問題では、レイチェル・カーソン女史の「沈黙の春」がこの分野の古典として有名です。
「自然は沈黙した。春がきても鳥は歌わず、ハチは飛ばず、リンゴの木が花をつけても花粉を運んでくれるものはいない。リンゴの実は成らないだろう。アメリカのこの地では、春が来ても自然は黙りこくっている……」で始まるこの名著は、1962年の出版以来、心ある者の脳裏から離れることが無くなりました。

もう一冊ご紹介しましょう。あまりに有名な、有吉佐和子の「複合汚染」です。朝日新聞連載以来、型破りの小説としてその面白さもさることながら、日本男性に食品に関心を持たせ、政策にまで影響を及ぼした、稀有の作品となりました。2冊とも、ぜひご一読ください。

「沈黙の春」レイチェル・カーソン(新潮文庫)
「複合汚染」有吉佐和子(新潮文庫)


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