東洋占術には様々な種類がありますので、更に多角的な判断法として、可能な例をご紹介しておきましょう。
今回は転職の例を取り上げましたが、このような場合、良い転職先が見つかるかも重要ながら、運命的に全体の流れに無駄に逆らってはいないか、というような事が重要です。
人間的な都合ばかり考えて、目先の損得ばかり考えていると、つい重要なことを忘れがちになってしまいます。人間は弱いものですから、神仏やご先祖や加護を受けられないと、何の力もありません。しかし、自分で出来る努力を怠らず、慢心を戒めて徳を積まないと、その加護も受けられません。「天は自ら助くる者を助く」です。
そういう面を見るには、南北相法が役に立ちます。
水野南北は、江戸後期の著名な人相見ですが、代表的な著作に南北相法があり、この中に基本の十三部位があります。なにしろ水野南北は、貧困階級にあって様々な職を転々とし、無頼の徒となって入牢していた時に、人相と人の運命の間に関連性を見出して、稀代の人相見になったという経歴の持ち主です。
この十三部位という見方は、顔の中心線を観る方法で、一番上から天中〜天庭〜司空〜中正となっています。このように一身上の進退問題のような場合は、もしその問題に何かしら障りがあるようならば、先祖や神仏のご守護を表す部分、だいたい上記の天中から中正の範囲に、赤いニキビのような色が出ているものです。
苞(ほう=ニキビのこと)には、吉暗示を持つものと凶暗示を持つものがありますが、吉苞は非常に少ないので、よほど特殊なケースを除いて、苞はだいたい凶暗示です。
もし、時期が空亡、方位が暗剣殺、という場合で、ここに赤い苞が重なれば、だいたい悪い方のデータが一つ増えたものと思って下さい。
何の世界でも、一芸を極めれば、ちゃんとした結果を出せる、というのは正しいのですが、私たちはまだ修行途上の身ですから、占術が達人の域に達しなくても、早めに間違いのない判断を、ちゃんと出来たほうが有難いですよね。その為には、幾つか違うタイプのデータを使ったほうが良いのです。
占いは、当てるのが目的ではありません。もちろん、当たらなくては判断は出来ませんが、現在をよりよくする為のものであって、悪い結果を当てたところで、何にもなりません。その為、悪い前兆を早く見抜ければ、避けられたほうが有難い筈です。
もし、どうしても避けられない悪運が目の前に迫っているとしたら…これは運命学に携わる者にとっての職業倫理とか、端的に言えば常識でもあるのですが、別に当てる必要はありませんよね。
ホラー映画で「ファイナル・ディスティネーション」というシリーズがあります。
あれは、悪運から運良く逃げ延びた人達を、悪運がしつこくいつまでも追いかけてくる…生き残った人達は何とかして逃げ延びようとする…というテーマで、なかなか面白いです。
あの映画も、運命というものが予め決まっていて、それが悪運であっても、絶対に逃れられないものだ、としたら、もう少し深遠なアプローチになってもいいと思うのですが、コメディ仕立てのホラーなので、気軽に楽しめるのが人気の秘密かもしれません。
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水野南北肖像 | 南北相法之書 | 十三部位の図 |
もう一つ、名前=姓名判断も相術ですが、動くべき時期の判断として、姓名判断に移動数というのがあります。ズバリ15画です。
「この人は迷ったらさっさと動いてしまったほうが後悔しない」タイプなのか、それとも「環境を変えることに対してネガティブな影響を受けやすいので、迷う場合は現状維持のほうが良い」タイプなのか、先天的な傾向を見ることが出来ます。
筆者は名前にこの移動運の15画があり、更に四柱推命でも「駅馬」がついているせいか、けっこう引っ越しが多いです。迷ったら自分で、さっさと引っ越ししてしまうタイプです。引っ越ししたほうが気分が良いし、新しい環境に慣れるのも早いです。
このように、複数の占術を使うメリットは、判断の強化でもありますし、選択肢を増やすことも出来ます。運命が決まっていて、全く変える余地が無いのであれば、占術を学んでも何の役にも立ちません。しかし、一生を全く安全無事に、何の苦労もなく過ごせる人はいませんから、苦労をしてもそこから何を掴むかは、当人次第です。
命・卜・相それぞれの、上達のコツを述べますので、せっかく学ばれた運命学を、日頃から自分なりに磨いて、実践に使えるものに高めていって下さい。
まずは自分と身近な人の命式を見てみます。有名人やあまり良く知らない人は、実際がどうなのかよく分からないので、モデルとして適していません。特に芸能人、タレントはなるべく避けて下さい。他でも述べていますが、芸能人は生年月日を偽っている人が多い…というより、ほとんどと言っていいので、せっかく占っても正しい判断が出来ません。更に芸能人は、先天傾向も後天運も、一般人や一般人が目指す成功者とは違う特殊な傾向が強いので、勉強の材料として適していません。有名人を選ぶなら実業家か文化人ですが、どちらにしても、一般の方が思い浮かべる有名人=成功者=幸福な人、立派な人という概念は捨て、白紙の状態から人間観察しないと、勉強にはなりません。人間はだいたい、何かが突出していればどこかが抜けているものですから、ステロタイプの価値判断は厳に戒めるべきです。
毎日、タロットなら一枚、易なら略税法一回で、その日の運気を占います。その日の注意点や身近な出来事など、なるべく持続して卜占に慣れることで、力をつけてゆきます。その時に、当たったか外れたかよりも、出た卦の「言葉」と自分の感覚の繋がりを大切にして、気づきを得ることを目的にしましょう。
自分の感覚を磨き、感覚を受け止めるにも、素直に真っすぐに受け止める練習、これはいわば禅=禅定(ぜんじょう)の境地にも繋がり、自分の器を大きくする事にも繋がります。何か願望があって、それを占うような場合は、客観性を失わず、自分の欲から離れてニュートラルな立場で占う態度を身につけるようにすると、自分自身の力がつき、いろんな点で向上します。「占いなんて信じたいことだけ信じてればいいんだよ」というような浅い認識の人と付き合うのは、自分の為にならないでしょう。
気学の場合は、月盤と日盤を観る練習として、とにかく慣れることです。基本に忠実に、五大凶殺をカット、残った中から吉方を抽出、その次に、上位の盤と吉凶方位を噛み合わせます。最後は一番重要な作業で、そこに定位盤の意味を加えることで、吉凶判断が生きたものになり、性格付けが出来て覚えやすくなります。
また性格付けをする際に、テキストや一般的な解説に書かれている言葉に頼らず、自分で言い換えて自分の言葉で説明できるようにすると、応用力がつきます。こういう練習は繰り返して続けることが重要で、使わないと忘れて間違えてしまいます。とにかく最初は、単純な手順をしっかり身につけることです。
気学の勉強は机の前で出来ますが、人相の勉強はテレビ画面だけではなかなか身につきません。
重要な事を経験上申し上げますと、テレビや映画などの画面に映る人達と、現実に日常生活で実際に自分に関わってくる人々の相は、かなり違います。日常、頻繁に接するタイプの相が、相学の教科書には載っていなかったりします。やはり、画面に映る人々や本に載っている人々は、平均とは離れているのです。ですから、命式でも人相でも、教科書でモデルとして取り上げる人々だけ観ても、あまり実際の役には立たない可能性が高いのです。あくまでも、勉強の為の一例を便宜上取り上げただけ、と思ったほうが良いです。
筆者のお勧めは、買い物や通勤電車の中で、人の顔を観る練習をすることです。顔が縦に長いのか、顎の長さは長い方か短い方か、目が大きい方か小さい方か、起居振る舞いはどうか?〜この人は落ち着きがなく変わった癖があるとか、どっしりとして安定感があるかどうか?これは、実際の人の顔を多く見ないと、本で幾ら勉強しても身につきません。スマホを見ている人が多いと思いますが、そんな中で本を読んでいるとか、ぼんやり何かを見ているとか、電車の中は学習材料の宝庫です。あなた自身がスマホばっかり見ている、というような、勿体ないことはしないようにしましょう。
この章は、複数の占術を使うにあたっての、考え方の一例です。この通りにしなくても、皆さんが自分なりに、使いやすく工夫されるのも良いことです。しかし確実に言えることは、通り一遍のことしかしなければ、通り一遍の結果しか出ない、ということです。
努力はもちろん必要ですが、がむしゃらにやるよりも、目標を定めたり、普段していることに、ちょっと工夫を加えることで、また新しい風、新しい運気を呼び込むきっかけになる、ということを肝に銘じておくことが大切ですね。
「2025年8月記述」
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