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寝室のポイントその1・採光


良い寝室の条件とは

生活の中で睡眠は、最も重要な要素の一つと言っていいでしょう。良質な睡眠の為には、寝室の環境をどういう風に整えるかは、とても大切なことです。
ところが、意外に認識や好みがバラバラなのも、この寝室です。
個人個人の癖もあって、何をどうするのがよく眠れるか、という正解が、一つに決めにくいという面もあります。風水学というのは人間環境学の一種ですから、一つのセオリーはあるのですが、なるべく迷信、俗信ぽいことを排してポイントを押えてゆきましょう。

方位を含めた総合的な考え方は、以下の章に書いてあることが基本になりますので、まずこれを押えて下さい。
枕の向きを考える

上の章に書いてあることを更に細かく詰めてゆきますと、方位や家具の使い方を含めた部屋の構成、採光、温度調節、換気、音、食事や水分その他の体調管理、色柄材質を含めたインテリアなど、さまざまな要素があります。それを具体例を交えて考えてゆきます。

今回はまず、寝室を考える上で最重要ポイントとなる、採光の問題を取り上げます。採光はもし条件が悪い場合でも、割合に自分個人の意思で調整しやすいので、改善できるぶんは早目に改善すると良いでしょう。



採光の種類

単に採光と言っても、いろんな要素があります。モノが見えれば光を採り入れているわけですから、明るい光だけが光ではありません。

◆外部からの光:窓の向きと大きさ、周囲の環境、季節によって大幅に変わります。
ここで意外に注意しなければならないのは東向きの窓です。東向きはいちおう風水学では吉〜小吉になっているのですが、東の窓は気持ちが良い反面、明るすぎるという欠点があります。遮光カーテンで完全に真っ暗にしてしまうのも勿体無いのですが、夏ですと東向きの窓は早朝から明るくなってしまい、寝不足になってしまいます。
眠っていて意識しなくても、目には朝日が入っているので、自然と睡眠が浅くなっているのです。夜明けと共に、と言っても、そういう自然児のような生活が出来る人は少なく、みな出勤時間に縛られていますから、寝たい時刻までゆっくり熟睡できるように、部屋の採光を調整したほうが良いでしょう。

明るさはカーテンで完全遮光、半遮光、一定時期だけ半遮光を取り付けるなど、材質や厚みを調整すればいいのですが、やはり窓というのは開口部ですから、自然と窓に対しては警戒心が働いたり気が散ったりしがちです。この場合、ベッドのどの位置に窓があり、どのぐらい光が入るかで変わってきますが、だいたい三つに分類されます。

一般的に、横に窓があるケースが一番多いようですが、たまに広々と視界の開けたガラス窓に頭を向けて寝ている人もおられるようです。
集中力という点から言うと、寝室は狭くて視界が狭く穴倉のような感じのほうが落ち着いてぐっすり眠れて体力がつきます。しかし、育った環境と関係があるのか、とにかく明るく広い寝室で、海の見える寝室が素敵、という方もあるようです。もう一つは、あまり狭いと気圧が外と違いすぎたり、CO2濃度の管理の問題が出てきます。

これは知り合いの生化学者に聞いた話なのですが、緯度の高いヨーロッパ生まれの人などは、とにかく明るい太陽光線を求めてやまない強い憧れが、DNAレベルで体の中にあるそうなので、日本のような亜熱帯気候の地域とは、体質からして違うのかもしれません。
ロシアの人などが、ほんのちょっと太陽が顔を出すと、真冬でも喜んで裸で外へ出て行って日光浴しようとするのも、日本からすると驚いてしまいますが、やはり暮らす環境の違いでしょうか。
日本もかなり南北に長いので、地域に応じた違いがあってしかるべきです。そうすると、建築基準法の開口部の割合なども、地域によって考え直してみる余地がありそうです。

1横に小窓のあるベッド 2枕元に小窓のあるベッド 3北側の掃き出し窓脇ベッド 4南の大きな掃出窓脇ベッド

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上に窓とベッドの関係を何種類か絵にしてみましたが、皆さんはどのタイプがお好きでしょうか。
1は北側の部屋を寝室にしてある例で、控え目な腰高窓を取ってあります。朝日がパーッと射すことはなくても、目に直接窓の明かりが入る位置なので、濃い目のカーテンを取り付けてあります。ごく普通の厚さで、朝になったらやや明るくなる、という感じなので、特段工夫は要らないでしょう。北側の部屋は寒さを防ごうと、余りに厚手のカーテンをしますと結露がひどくなります。ほどほどのところでいいでしょう。
壁の色はたぶん白系統が多いと思いますが、実は白は寝室にはあまり良くありません。味気ないというのもありますが、無個性すぎていわばカラと言っていいかもしれません。

少し昔になりますが、自家用車が一般的になり始めた時代、日本の道路を走っている車を見たら、白、白、白、白…なんで日本って白の車しか走ってないの?外国はカラフルだよ?と笑っていた覚えがあります。
今はメーカーも個性を打ち出してきますし、好みや暮らしぶりも変わってきたのか色とりどりですが、どうも住宅は遅れているのか、冒険したり色を考えるのが面倒なのか、何も言わなければ白一色です。何色がいいかというと、あまり冒険してすぐ飽きるといけませんので地道なところでいけば、長い時間を過ごす場所はできるだけ茶系統の色が落ち着きます。家具や床材で茶が一番多いのは、大地の色なので人に安心感を与え、間違いがないからです。しかし茶系統の色は色味がけっこういろいろあって、意外に好みが別れます。

モデル画は茶でもベージュでもなく、薄茶に近いベージュですが、パソコンの環境で色が違って見えます。壁の色は重要ですので、もし自分で決める場合にはよく検討する必要がありますが、寝室の色彩選びのコツは、できるだけ彩度を落とすことです。もちろん、交換できるものは季節によって気分を変えるのも大いに好ましいことです。これはインテリアと色彩のところで詳しく述べます。

2は頭側の壁に窓があるので良くないと思う方があるかもしれませんが、これはありです。頭よりもなるべく高い位置や両側にあって小窓ならばOKです。この絵ではカーテンはつけてありませんが、好みのものをつけることができます。
狭い穴倉のような寝室が集中力がつく、とは言っても、前述の気圧やCO2濃度の関係で、管理はやや難しくなります。

3も北側の部屋ですが、間取りの都合で腰高窓ではなく掃き出し窓になっている例です。この場合は、北側なので寒々しい感じにならないよう、床を暖色のカーペット敷きにしてありますが、色は抑えてあります。寒色の中でもグリーンだけは北側にも使えるので、寝具をモスグリーンにしてカーテンは茶系にしてあります。

4の例は明らかに寝室には向きません。このような間取りにしてある部屋は、建具も家具も真っ白を使ってある場合が多く、いろんな意味で寝室には向きません。
ワンルームでこのような間取りの場合には逃げようがないので、何とかインテリアで工夫するしかありませんが、この例ではダブルベッドなので、この部屋しかない、ということは考えにくく、家全体でどの部屋を寝室に当てるか、全体の配置から根本的に見直す必要があるかもしれません。

光の量はカーテンやブラインドで調節すれば良いのですが、カーテンのほうが調節しやすくバリエーションも豊富でお勧めです。中厚手の生地で秋冬はそのまま使え、春夏は裏に薄手の遮光生地を取り付けて遮光機能を増すという方法なども良いでしょう。
とにかく、寝室に大きな窓がある場合、暗ければ寝すぎてしまうだけですが、明るすぎて早く目が覚めるのは困るので、自分が知らず知らずに寝不足になっていないか、実情を見直してみましょう。


◆部屋の照明:これは結婚や同居などで他人と一緒に暮らし始めた時に、お互いに食い違ってしまい、困った経験のある方も多いのではないでしょうか。筆者も経験があります。何が何でも真っ暗にしなければ眠れない!という人、少し薄ぼんやりと明かりをつけていたほうが良い人、何故か煌々と部屋の照明をつけていなければ嫌だという人、いろいろあります。
最後の、煌々と照明を灯していなければ嫌なんて、そんな人が居るのか?と思われるかもしれませんが、実際に居ます。また、突然そうなる時もあります。
他の章でも触れる機会が出てくると思いますが、照明に限らず、急に固い枕でないと気持ちが悪くなったり、変わったことをし始めたら体調が変化する前兆の場合があります。
筆者の知り合いでも、何故か枕をどんどん高くしないと気持ちが悪くなって、そば殻の固い枕を更に更に高くしはじめた方がありましたが、お加減が悪くなる前兆でした。筆者も成長期に、急に今までの枕が合わなくなって気持ちが悪くなったことがあります。必ず病気になると限ったわけではありませんが、体質や運命の変化する兆しの一つと覚えておいて下さい。

◆テレビやパソコンの光:ゆっくり時間のある時など、寝室でテレビやタブレットで映画などを見ながら過ごしたいということは珍しくないと思います。筆者も時々やります。しかしこの場合に注意しなければならないのは、あまり部屋を暗くしすぎないことです。テレビやパソコンなどをずっと見つめている場合は、部屋の照度との差が激しいので、その差が極端にならないようにすることです。テレビの画質設定で「シアター」というのがありますが、「ゲーム」とか「ビビッド」と比べると、かなり暗いですね。
とにかく映画でも何でも、寝る前に電気製品の画面を見るのは、安眠の為にはやめたほうが無難です。お勧めは紙の本の読書です。これは今から述べる、光の種類と関係があります。


※映画の画面と光の種類

部屋の明るさとテレビ画面は、あまり照度に差がないほうが良い、と書きましたが、映画館では観客席は真っ暗で、画面は煌々と明るいですね。これは次に述べる「反射光」と「透過光」の違いも関係しているのです。
反射光とはその物体に外から当たった光が反射して、それが視認できるものです。つまり紙の本が読めたり、普通にモノが見えるということです。
一方、テレビやパソコン、タブレットなどは透過光で、そのものじたいが発光していて、その光が透過して直接目に入ります。
反射光と透過光では反射光のほうが疲れにくく、目にもやさしいのです。
映画館のスクリーンは直接発光しているわけではなく、映写室から光を当てて反射させているので反射光であり、テレビやパソコンよりも疲れにくいのです。

反射光と透過光では面白い話があり、モノの本によるとこの両者では、脳に与える影響が違うという話があります。どっかの印刷会社でも、関連機関で実験して同じ結果が出たそうですが、ディスプレーの透過光を見つめていた時よりも、紙媒体=つまり反射光を見ていた時のほうが、前頭前皮質が強く反応するそうです。
前頭前皮質というのがナンなのか、筆者も実はよく分かりませんが、簡単に結論を言うと、紙の本で読み書きするほうが論理的かつ冷静沈着になり、透過光であるテレビやパソコンのディスプレイを見つめていると、感情的になりやすい、ということだそうです。

科学実験といってもどこまで確証のあるものかは知りませんが、何せ筆者は布団の中で長時間の読書をしたり映画を見たり音楽を聴いたりするのは、この道のプロ(?)と言って自慢して良いぐらいのキャリアがあるので、自信を持ってこれに関する結論を言うことが出来ます。

本を読むのは何時間でもできます。決まったサイクルがある時は2〜3時間でやめて寝ますが、読んでいる間はしっかり楽しみながら読んで、(明日があるからそろそろ寝るか)と思うと、パタッと本を閉じてそのまま、何秒かのうちに熟睡してしまいます。だいたい、何分ではなく何秒かで寝付きます。読みながら朦朧となって寝落ちしたり、眠れなくなったりすることはまずありません。このスイッチのON-OFFは、我ながら自慢できるといっても過言ではありません。
そのまま読み続けて朝までどころか、翌日の夜までトイレとご飯以外は立たずに読み続けるのも平気ですし、そういう状態を何日も続けることが出来ます。学校の休みは外に出ずにずっとそうしていました。これは子供の頃からずっとそうでしたし、還暦越えても全くこの能力(?)は衰える気配がありません。

しかし映画を多く見だすと、妙に興奮したりイライラしだして睡眠が乱れます。一本見て寝る積りが、眠れなくなってもう一本見たり、妙にイラついていろんなことが気になりだし、また起きだしてパソコンに向かったりします。しかも、自分の中に残るイメージは、本を読むことで得られるイメージが無限なのに対し、映画は絵になっているぶん限定されてしまっていて、意外に後には残らなかったりします。

読書暦が長く量も多いので、単に読書に慣れているだけだ、とも言えますが、反射光と透過光の違いを知ってからは、自分なりに納得しています。パソコンを触らなかった時代には、睡眠が乱れた、という経験がなかったのですが、ネットで仕事をするようになってからは、けっこう生活が乱れがちです。
…と、自分の読書自慢をしてもしょうがないのですが、要するに、寝る前にはテレビを見たりネットをせずに、本を読みましょう、ということです。もちろん、光が直接目に入らないようなスタンドの配置が必要です。

映画を長時間見る場合には、液晶テレビよりもプロジェクターのほうがいいかもしれません。プロジェクターのスクリーンも、ビーズだとちょっとギラつきますので、なるべくマットなものならば、柔らかい反射光になります。
しかし、透過光を使った機器は身の周りに溢れています。スマホもゲーム機器も全部そうです。子供が一日中スマホやゲームの画面に目を凝らしているのは…これは果たしてどうなのでしょうか?子供の自殺なんて、こういう電子機器のなかった昔は聞いたことがありませんでしたが、睡眠の質を見直す際に、この問題も思い出してみてはどうでしょうか。

最近、反射光のE Inkを利用した読書端末を利用する人も多いですが、純然たる読書好きの間でE Inkの評判が高いのも、目が疲れるかどうかという問題以上に、もっと心身全体に関係する生理学的なことがあるのかもしれません。少し話がそれましたが、安眠の為、またいろんな問題提起に際して、知っておいて損のない話ではないでしょうか。


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