このサイトも、開設以来四半世紀を超えて、ずいぶんいろんな局面を経験してきました。そんな中で、いまだに変わらず、息長くこのサイトに係って、細く長くでも勉強を続けている方が、沢山おられます。
この章は、主に当サイトの講座で複数の占術講座を受講された方に対して、今後、その学びをどういう形で生かしてゆくかの、一つのヒントを提供するものです。
少し回りくどいかもしれませんが、最後までお読み頂ければ、今まで学んだことを更にステップアップさせ、実践に活かしてゆくヒントが掴めるでしょう。
具体的な話に入る前に、もう一段階ステップアップしていく為に、「学ぶ」ということに対しての、基本姿勢を考えてみましょう。
何かを学ぶにも、いろんな段階があります。
がむしゃらにでも、とにかく多くの知識を吸収する段階。
その次に、それを実行したり、結果をよく観察しながら、じっくりと噛みしめたり発酵させる段階。
更にその先には、いったんそれを手放したり、違う角度から見る段階もありますし、或いはいったんそれを、忘れてしまう時期もあるでしょう。もし忘れてしまう時期があっても、それも学びの一つの段階なのです。
例えば、スポーツとか技術とか、身体や手先を使う世界を例に取ると分かりやすいのですが、皆さん、こういう経験は無いでしょうか。
何かを、一生懸命に努力して練習します。何度も何度も、何十回も何百回も、何千回も何万回もひたすら練習しても、どうしてもうまく出来ない。…そんな時はだんだん歯がゆくなって、自分には向いていないのだろうか?無駄な努力をしているのではないだろうか?などと、懐疑的になったりもします。
しまいに、拉致があかないので、いったんそれを忘れたり離れたりする場合だってあります。そしてまた環境が変わったりして、何らかの縁でその世界に戻ってみると、意外や意外、何も練習しておらずブランクもあるのに、意外なぐらいにアッサリと出来てしまった、ということがあります。
それが知識であれば、「ああ、あれはこういうことだったのか!」と、フッと見えてきたりするものです。
この現象は何と言うか、力みが取れたのか?執着が取れたせいなのか?違う角度から見ることが出来るようになったのか?
少し不思議な現象ではありますが、物事に真剣に、息長く諦めずに取り組む人にだけ味わえる経験であり、醍醐味ではないでしょうか。
しかしこれは、本当に汗を流してイヤというほど努力してこその結果で、そこそこの努力しかせずに、すぐに放り投げたり諦めたりしていては、こういう結果は得られません。
昨今は、知識をまとめるだけなら、AIでごく簡単に出来ます。しかし、それで身につくかというのは、全く別の問題ですね。
別に、運命学をこういう風に真剣に学びなさい、という論を展開している訳ではありません。むしろ、運命学は、大衆的、一般的なものではなく、その人なりの「縁」というものが必要で、広く流布するようなものとは、少し違います。
その為、学ぶにも目に見えない資格のようなものがあり、安易に実利と結び付けて考えたり、また真剣にのめり込み過ぎたりすると、危険な側面もあります。
それでも、いったん何かを学び始めたら、ある程度深く関わって真剣にやらないと、すぐにインスタントに結果を求めてしまうと、なかなかモノになりづらい、という事は言えるでしょう。
このサイトに訪問なさっている方は、たぶん占いに対しては、割にしっかりした認識をお持ちの方が多いと思います。当サイトの内容のみならず、他サイトに書かれていることと比較検討したりして、きちんと学ぶ姿勢をお持ちの方でないと、なかなかついてこれないかもしれません。
ただ如何せん、占術というのはなかなか厄介な世界で、はっきりした正解をなかなか得づらいものです。また個人ごとに、求めるものや適した学び方が違ったり、同じ人であっても、その時の状況で結果が変わってくる、という特性もあり、画一的な正解が存在しないものです。
そんな中で、少しでもこの、複雑で曖昧模糊とした占術というものを、有効に使用できるように、考えていきたいと思います。
他の章とかぶる内容もあるかとは思いますが、どういう順序で考えていけば良いか、ここでは大きく分けて、占術の種類、更にどの占術をどういう風に生活に取り入れるべきか、迷った時の解決のし方なども考えてゆきます。
これはじゅうぶんご存じの内容でしょうが、今回の話では、この「運命学の種類」が重要なので、復習しておきます。運命学には大別して「命・卜・相」(めい・ぼく・そう)の三種があります。
・命占:生年月日を基盤とする占術で、四柱推命、占星術、算命学などがあります。決して簡単ではありませんが、理論とシステムが比較的に確立されているので、きちんと順序だてて学べば、大筋では同じ結果が出て、だいたい理解できる筈です。偶然性に頼らず、一定の順序に従って、人の運勢の流れや性格、資質などのデータを読み解いてゆきます。
その為、誕生日を使う占術には、確実な再現性があります。再現性が無いのは、間違っている場合か、占う人の力量や学習過程が途中段階なだけです。
・卜占(ぼくせん):「偶然の要素を使って占う」と書いてある場合がありますが、これは少し違います。何かのツールを使って、インスピレーションを導く占術なので、ツールとインスピレーションの二つが必要な材料であり、偶然的な要素は使いません。
むしろ、世の中には偶然のものは存在しない、全ての現象は何らかの理由と必然性があって導き出されている、という考え方が、根底にあるわけです。
もう一つの特徴は、インスピレーションが必要なだけ、占者によって結果が大きく異なる、という特徴があります。また、同じ占者であっても、その時々で答えが違う場合も多々あります。このバラつきや「ムラ」は、卜占の特徴であり、そこから何を読み取るかは、占者の実力や経験によって、大きく左右されます。
またその多くは、再現性の無いものです。卜占はとても素晴らしいものですが、このような幾つかの特徴の為、言語化して人に教えるにはあまり向きません。筆者も、卜占について教えるのはあまり得意ではなく、もし教える場合は、研究会という形が相応しいと思いますが、なかなかそれだけの機会を持つのは難しく、今のところ、興味のある人は自分なりに追及して下さい、というスタンスです。
種類としては、易占、タロット、サイコロ他、使うツールはさまざまで、特に規則はなく、占者が自分の使いやすいものを自分で選びます。極端な話、茶柱占いなんてものでも、使おうと思えば使えるわけです。
卜占についてのこぼれ話【対談:易とタロット】
https://www.kumokiri.net/koudan/eki-tarot.html
・相占:「モノの相」=目に見える形から本質を見抜く、という占術です。仏教では相=形=色(しき)と言いますが、手に取れる物量が無くとも、目に見えるものなら、何を使っても構いません。
使いやすい物としては、家相、人相、手相、骨相、印相、姓名判断、気学(方位学)などがあります。
有名な言葉として、麻衣仙人の「相は性に従って生じ、性は相に従って生ず」という言葉があります。そのほとんどが陰陽五行思想をベースにしており、更に十干・十二支を含めた概念を理解すれば、他の占術も含めた包括的な判断が出来るようになります。
ある意味、占術全体を理解するには、いきなり「命」から入るよりも、この「相」から入るほうが、陰陽五行という基礎理念に深めていきやすく、応用の利く学び方になるでしょう。
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占星術のホロスコープ(命占) | 易占(卜術) | 手相(相術) |
※手相占いの手がヘンですが…AIは手を生成するのが苦手なので(笑)。
さて今回、改めてこういう分かり切った話をしたのは、今まで、皆さんにお伝えすべきなのに、伝えきれていなかった事があるからです。
講座受講生の方々は、命理から気学、家相など、いろんなコースを順番に受講なさっているわけですが、たぶん実際に日常生活に活かしておられるのは、気学とか家相なんかが多いのではないでしょうか。
更には、気になる人の命式とか、自分自身の年運、月運などを観たりもなさることでしょう。しかしこれらを使用する時に、複数の占術をどういう風に組み合わせるのか、整理して考えたことがおありでしょうか。
実際、特に考えなくても、気が向いた時に好きなものを使うという方法でも、まったく問題ないわけです。しかしこれら複数の占術は、それぞれの役割や立場があり、当然ながらその効果も違います。それらを整理して、その特質に応じた使いかたを心がければ、よりしっかりと、各占術の特性を活かして、有効に使うことが出来るでしょう。
それらの中で今回は、代表的な使いかたとして、「命」と「相」の組み合わせを考えてみましょう。「卜占」も、入れられる時には入れてゆきます。
この二種の占術の使いかたは、占術の性格を改めて考えてみると、はっきりしてゆくでしょう。
命占の性格は、その場その場での出処進退をどうするか、というよりも、もっとずっと、幅の広い判断をするのに向いたものです。大局的な視野で、全体的な傾向を観るのに向いていますね。
運勢を見る場合でも、年運とか月運とか日運を見るよりも、10年運とか30年運、人生の四季の流れを見る場合には、とても信頼の於けるものです。しかし年運より短期の運勢になると、雑音も多くてやりづらくなります。
それに比べ、卜占とか相術は、かなり具体的な判断に使えます。たぶん皆さんはまだ、具体的な判断には慣れておられないと思いますが、今回ご紹介する考え方を参考に、多少外れてもご愛敬、ぐらいの積りで、今後は練習してご覧になると良いでしょう。
もし、易やタロットの練習をしておられる方があれば、その練習をなさるのも良いですし、九星気学や人相判断の練習をなさっている方も、この方法を応用できます。
命占を、一生変わらない人生の設計図、地図と考えれば、卜占や相術はその場の動向を決めるコンパス、一時的にどちらを向いているか?また次の局面では違う方向を向く…それを見分ける為のコンパス、と考えることが出来ます。
今動くべきかどうか、大きな変化の時は命理の大運で掴む事ができますが、機が熟したかどうかの見極めは、卜や相での判断が有効です。
言ってみれば、大きな全体の流れが命理で何となくわかったら、そこに背中を押してもらうのは、卜や相のほうが使いやすいわけですね。
逆に、いま自分がとても動きたい気持ちになっており、チャンスが来ているように見えても、命理で見て大局的な流れに添っていなかったら、一時的な気の迷いかもしれず、下手に動くと逆運になってしまうかもしれません。
つまり時間的、空間的な要素で言うと、命占が広い範囲と長い時間軸の占術とすれば、卜と相は狭い範囲と短い時間軸での占術です。
大きく長い要素はそう簡単に変化しませんが、狭く短い要素は簡単に変わるので、重要なことを卜や相だけで決めるのは危険です。
ただし、小さな事なら失敗してもやり直しも出来るので、力だめしと思って実行してみる、という考え方もできるでしょう。
一般論だけではなかなか分かりづらいでしょうから、実際によくある具体例を取って考えてみましょう。
例えば、転職を考えているとします。転職はけっこう多い相談ですが、今の職場に不満があって、とにかく職場を変わりたい場合とします。場合によっては、転職と同時に引っ越しも視野に入るかもしれません。
こんな時は、まず命占で大運と年運を観て、動いてよい時期かどうかを観ます。
もし、四季の節目に当たっていたり、変化しやすい通変星や十二運に当たっているか、空亡期ではないかを見れば、転職に向いた時期かどうかが分かります。この場合は、長期と短期の両方の時間的要素を、判断できているわけですね。
しかしそれだけでは、まだまだ不十分です。次に、九星気学を使ってみましょう。気学の中でも、同会法は命理的な使い方になるのですが、気学の元々持つ性質上、「相学的な要素の強い命理」なのです。
どの宮に入るか?宮の性質によって運勢を占うのが同会法なのですが、例えば頻繁に出てくる例で、自分の星が中宮している時期に転職や引っ越しをしたくなる、というケースがあります。
これは本当に頻繁に出てくるケースで、もう九星盤の配置を見ただけで、今は動くべき時期ではない、というのがセオリーなので、前々から予定していたのでない限り、ビジュアル的な要素=八方塞がりなので動き時ではない、という判断が有力です。
この場合、無理に動くとどうなるか?と考えた場合、四柱推命での判断が有力です。通変星は十種類ありますので、それに沿った判断をします。
中宮ではなくて、他の宮に入っていた場合、例えば震宮回座ならば発展的要素があるのでポジティブな判断ができますが、艮宮に回座しているのなら、動きやすい時期なのではなく、不安定なので動きたい気分になっているのだ、と分かります。この場合も、四柱推命の流年法(後天運)で、内容判断を補強できます。
また、異動する前提だった場合は、どの方位に動くのが良いか、これは通常の気学の方位判断で出来ます。しかし、どの方位に引っ越しするかによって、数年後の結果は変わってくるわけです。このあたり、やはり気学はサブの判断に使うべき、という事が分かりますね。
このように、命占を動かない軸とすれば、より具体的な時期や方位などを判断できる卜、相を組み合わせて判断することが出来るのが、複数の占術を使いこなすメリットです。
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転職でも、少し違う要素が入った場合…これもよくある例で、知人が事業を興すので、一緒にやらないか、というお誘いがあるので、その話に乗るか乗らないか、という判断を迫られる場合があります。
自分も転職したい希望はあるが、しかしわざわざ、それなりに安定している今の職場を捨てて、知人の話に乗るのは果たして是か非か?確信が持てない…けっこうよくある話ですよね。
このような場合は、相談者だけでなく、必ずその事業を興す知人の運勢を観ます。そうすると、もう見事に手に取るように、将来の展望が見えてきたりするものです。
本当に多く見かける例で、相談者も事業を興す知人も、二人ともちょうど空亡期にあたっており、既にほぼ決まっている事業所物件も暗剣殺方位である、というような場合です。
少しでも講座で学ばれた皆さんは、もう手に取るように、予想がついていることと思います。話が出来すぎで造りもののようですが、本当に転職あるあるの、典型的な例です。
幾つかの占術を駆使していると、片方が良くて片方が悪い、ということは無く、だいたいが同じ方向を指し示しているので、占術恐るべしです。
面白いことに(と言っては失礼ですが)このようなケースでは、相談者と事業を興す知人が同じタイプの空亡なので、二人とも空亡期に、天意に逆らって事を興そうとしているわけです。二人は同じタイプの空亡なので、自然とこの二人は気が合い、一緒に仕事をしたい、という気持ちになるのは、自然の成り行きなわけです。
しかし結局は、二人仲良く間違った判断をしてしまい、あまり良くない結果を迎えてしまう、ということになります。
「あの時、言われた通りの結果になってしまって、今になると、あの時に言われた事が本当によく分かるのです」というお便りを筆者に出すことにならないよう…占いなんて人に言われても、良くない内容だとなかなか信じたくないものです。ですから、自分で学んでいただくのが一番良いのです。
もう少し、いろんなタイプの実例を取り上げようと思っていたのですが、長くなりすぎるのと、専門的すぎて講座でよほど深く学んでいない限り、なかなか理解できない内容になってしまいそうなので、今回は転職の例だけにしておきます。
このように、種類の違う複数の占術を駆使すれば、違う視点からの多角的な判断が出来、より的確な判断がしやすくて、判断にも自信が持てて背中を押してもらえるものです。
この場合、四柱推命で時期的な傾向や空亡期を判断し、気学で時期の補強、方位の吉凶を見ています。ここに略筮の一占でも立てることが出来れば、ほぼ迷いのない判断が出来るでしょう。
四柱推命と気学の同会法の二種で、時期的な判断が出来るというのは、かなり強力な判断法です。
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