風水学講座:目次


赤ちゃんの名付けは原則を大事に

名前のことはサイト内のあちこちに書いてきましたが、ここは姓名判断のサイトではないので、あまりきちんとまとめようという意識なしに、断片的に書き散らしてきました。
今回、もう一度まとめてみようと思ったのは、どうも最近、新生児の名づけが物凄いことになっているからです。これはマスコミでもたびたび報道されていますし、子供に関係する仕事に関わる人の間でも、「あまりに名付けがすさまじいことになっていて驚きます」と言う声をしばしば聞くからです。
女性名に関しては女性専科でも書きましたが、男性名に関してはあまり触れてこなかったので、再度のまとめの意味でこのコーナーでご紹介します。

名前にも一種の流行があり、時代を反映しているのは予想していたのですが、統計を見るとほんとに如実に分かります。
下は、ある大手生命保険会社の統計ですが、確かに時代を反映していると思います。面白いのは、昭和一桁から10年代にかけては、一字名の男性名が並んでいます。この表を見た時には、使用されている文字の統計かと思ったのですが、前後の年には二字名が書かれているので、この時期、昭和初期から三十年代前半にかけては、何故か一字名がひどく多かったようです。

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
大正元年 正一 正雄 武雄 正治 三郎 正夫 一郎
昭和11年
昭和31年
昭和41年 和彦 哲也 健一 直樹 浩二 秀樹
平成元年 翔太 拓也 健太 達也 雄太 翔平 大樹 健太郎
平成11年 大輝 拓海 海斗 大輔

大樹 翔太 健太
平成21年 大翔 瑛太
大和
悠真
陽斗
悠斗 颯真
颯太

この統計の中から、およそ10年刻みに抜き出してみますと、時代の流れが本当によく分かります。たぶん昔だと、仁義礼智信という、儒教道徳に基づいた命名がオーソドックスではないかと思っていたのですが、大正時代には正、清、治など、比較的正統派に近い文字が並んでいます。

大正7年から昭和12年までの20年間で「清」が13回にわたってぶっちぎりで一位。昭和13年〜昭和20年の期間は、戦局が濃くなったのを繁栄して、「勝」「勇」が全て1位、2位を占めています。
終戦後は勇猛果敢な文字は急に姿を消します。
昭和末期あたりの命名は、高度経済成長も一段落し、少し生活にもゆとりが出てきて高等教育が普及してきて、命名も多少の工夫が見られ、比較的バランスの良い名前が多いようです。

ところが、平成に入ると、何となく方向の定まらないような感じの名前が増えている気がします。平成10年代で、斗、蓮、海、颯などの文字が上位に来ているのはちょっと驚きましたが、この傾向は一層進んで、筆者にはほとんど読めない名前のオンパレードです。
たぶん、命名しているご両親は、周囲も似たような名前をつけているので読めるのでしょうが、筆者は斗などの文字は全く名前に使用するような文字とは思っていなかったので、改めて驚きました。

引越しの相談を受けて、家族全員の名前が書かれているのを見ると、ちょっと首を傾げる名前が増えてきたので、薄々感じてはいたのですが、何となく世の中が迷走しているのをそのまま反映するかのように、赤ちゃんの命名も迷走中のような気がします。
しかし、蓮という名前がベストランキング入りして来るのは…かなり驚きましたが、何らかの宗教的事情でもあるのでしょうかね…?
西洋圏だと聖書由来の名前が強いのは分かるのですが、実質無宗教の家庭の多い日本で「蓮」という文字は、なかなか浮かばないと思うのですが。
筆者も蓮号を仏教の師匠から頂いていますが、もしそういう関連ならば、なぜ女の子の名前にそういう気配がなくて芸者さんの名前が圧倒的に多いのか、男女の役割分担に懐疑的な人の多い現代、かなり不自然な気もしてしまいます。

女性名はもっとずっといろんな難しい問題を含んでいるので、更に事情は複雑です。平成に入ってからは、どんどんオミズ系統の名前が増えているので、もう画数の良し悪しよりも遥か以前に、名づけにあたっての常識のようなことを、整理しておいたほうが良いように思います。
それによって、あまりその時の一時的な流行に流されずに、年代の違う人が見ても認識できる、オーソドックスな名前をつけられたほうが、大きな失敗は少ないのではないか、と思いますので、この章でそれをまとめたいと思います。


名前とは

他の章でも書いていますが、名前はその人の「相」の一部です。本体が相に現れ、相が本体に影響するので、軽々しく扱って良いものではありません。
逆に、あまりに他人と区別しようと、凝りすぎて読めない名前をつけると、子供当人が後々苦労します。
何かに名前を書いて、呼ばれる時に誰も読めなかったり、普通に読むと違う読み方をされてしまうというのでは、一生のうちに何回そういう面倒で気分の悪い思いをするのかと思うと、気の毒でなりません。そこで、原則を幾つか列記します。


・常識の範囲で読める名前であること。
名前の一番の目的は、他人と区別し、社会に参加することです。一般社会の人が普通に読めない名前は、ある意味では社会に対する逆相であり、それだけ余分な苦労を強いる結果になります。また世の中の人の国語力は、自分で想像するよりも、ワンランク低く見積もったほうが無難です。これぐらい分かるはず、と思っても、分からなかった場合にいちいち腹立たしい思いをしない為にも。平凡な名前でも、姓との組み合わせによっては、バランスの良い良い名前になることもありますので、工夫しだいです。


・芸能人の名前を真似ない
自分なりにきちんと考えた名前がたまたま誰か芸能人と同じになってしまった場合は無視すればよいのですが、最初から芸能人の名前を真似ることはしない。もし真似る場合は、皇室の名前を真似るほうがまだずっと良いです。皇室はさすがに正統派のしっかりした名前を用いているので、よほどのことがない限り、大きな失敗はないでしょう。皇室の名前を真似るのは気がひける、というのはよく分かりますが、聖、神、皇、帝などの高貴すぎる禁忌文字をつけるよりも、まだずっと無難です。名前そのままを真似なくとも、一字貰うなどすればさほど気にならないと思います。


・文字の意義を第一に
名前で最も重視するのは、文字の意義です。名前に使う漢字は表意文字なので、当て字として使ってもやはり文字の意味は影響します。おかしな名前のつけかたが多くなったのは、ある有名人が、子供にオリンピックにちなんだ当て字をつけてからだということですが、何もこんなおかしな命名法を真似る必要は無いので、理由にはなりません。
もし、この影響でおかしな命名が増えたとしたら、放射能、みんなで食べれば怖くない、と同類で、結果を背負うのは当人…ではなく、子供なので、やっぱりこれも放射能と同じですね。
ちなみに、漢字を当て字として使う為に読みを途中でぶった切るのも、良くない使い方です。見ただけでもちょっとムリムリ感のある名前になってしまいます。

※名前の意味を調べるのに、ネットで検索して済ませるのは考え物です。ネットの辞書は受け入れられやすい代表的なものしか書いてありません。購入する場合でも、辞書だけは伝統のある専門出版社の、ある程度大部のものを選んで下さい。


・男女の別が分かる名前であること
これも何度も書いていますが、大切なことです。たまに男女どちらでもイケそうな名前もありますが、このような名前は特殊な職業の人に限られます。ペンネームなどの場合は、あえて男女別のはっきりしない名前にする場合もありますので、一般の名前と同じ考え方はしません。否定はしませんが、それなりの意識をもって使用して下さい。一般の方は、男女の見分けがつく名前であること。男の子の名前しか考えてなかったのに、女の子が生まれたからそのまま男の子の名前をつけちゃった、などはもってのほか。(その逆も同様)


・総画数を調整する
名前は、一生を通じて使うものだということを考えて下さい。文字の意味や読み方、見た感じも大切ですが、やたらに全体の画数が多いのも、逆に少ないのも軽々しくてあまり良くありません。はっきり言いますと、全体で21画〜41画の間が限界だと思います。手書きで何かにサインする時のことを考えると、35画を超えるとけっこう書くのは大変です。画数が良いとか悪いという以前の、実用面の話です。


・一字名は避ける、姓名をバランスよく
姓とのバランスにもよりますが、一字名は姓名学上は吉凶が偏るので、避けるほうが無難です。二字名が基本です。三次名は二字名に準じた見かたをするので、差し支えありません。


以上は、画数が良い、悪い、という姓名判断以前の、最低限守らなければならない条件です。画数を気にしても、先にこれらの条件が満たされていないと、何にもなりません。
一般の方が自分で画数計算をされても凶名になってしまうことが多いのは、こういうバランスを失しているからです。姓名判断というのは、画数の吉凶だけではありません。
もちろん、実際に命名する時には、画数計算をしてから文字を選び始めるのですが、画数計算したからといって、見た感じが不自然だったり、座りの悪いアンバランスな名前になってしまうのは、下手なやり方です。まず、読みやすく、見て感じの良い名前であることが第一です。以上、ご参考まで。


関連項目

人と音韻の妙(タオの風水巷談)
姓名判断・基礎の基礎(バラエティルーム)
女性名のタブー(女性選科)


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