youtubeを見る理由にもいろいろあるが、そのほとんどは何かの参考になるとか、マニアックなものを見たいとか、いち早くニュースを知りたいとか、或いは「tube」の名称の通りに、テレビとして流しっぱなしになっているとか、だいたいはそんなところだろう。
しかし放送局の作るテレビ番組と、youtubeの大きな違いは、youtubeはその名の通り、誰でも発信者になれる、ということである。 視聴者から発信者にバージョンアップする理由は、副収入が目的であったり、自己実現であったり、本業の宣伝をしたいとか、youtubeそのものに本業として取り組んでいるとか、これも全くの自由である。 そのぶん、玉石混交なのは仕方の無い事で、これほど巨大化してきたサイト故に、自分がアプリを立ち上げた時に、どんな映像が流れてくるのか、視聴するにもある程度は、基礎的な知識とノウハウを身につけておく必要が出てきた。
そんな中で、是非皆さんに知っておいて頂きたいチャンネルがあるので、別に誰に頼まれた訳でもないのだが、余計なお節介を承知で、今回お伝えしておこうと思う。
少々、手垢のついた諺かもしれないが「職業に貴賤なし」という言葉がある。 しかし筆者は、職業に貴賤はあると思っている。それは、どの職業が尊いか卑しいか、ではなく、ひとえにそれに従事する人の姿勢、取り組み方である。医者とか弁護士とか、いわゆるステータスの高い仕事であっても、当人の取り組み方によっては、尊くも卑しくもなろうというものである。 ただ、ギャンブルに係る事などは、なかなか尊い仕事にはなりづらいと、個人的に思っている。せいぜい、必要悪的な需要はあっても、だいたい、志の高い人がそういう業種に入る割合は少ないだろう。飲む打つ買うの三業は、良い方に考えても、せいぜい趣味か、生理反応どまりではないだろうか。 よく、水商売なんかは女の土方だ、なんて言ったものだが、こういう解釈も、裏を返せば長くやるものではない、という前提あってのことだろう。
水商売や土方仕事(貶める積りの表現では無いので、誤解無きよう)にも通じるが、昔はよく、一時的にでも稼ぎたかったら3K仕事、なんて言ったものだ。 3K(サンケー)とは「キツい、汚い、危険」の三つのKのことである。これらの三種のリスクを冒す代わりに、無資格・未経験であっても、デスクワークなんかよりも高収入が得られやすい、というのが前提の、3K仕事だった。
ところが昨今は、「キツい、汚い、危険」はそのままで、高収入のほうだけが変わった。人手不足などと言いながら、3Kであるにもかかわらず、リスクに見合った報酬を払わなかったら、それは人が集まらないに決まっている。 人手不足なのではなく、安く保障も無しでこき使える「奴隷」が足りない、というだけの話なのだ。よく「人材が足りない」なんて言うが、高い報酬を払わなければ、良い人材が集まらないのは当たり前の話だ。
しっかり勉強して、高い能力を身につけて、難しい仕事を沢山こなして社会の役に立って、自分も豊かな生活を保障されて、頑張り甲斐のある社会で生きる、これが本来、あるべき姿ではないだろうか。奉仕的な仕事だから金の事を言うのは卑しいとか、何もせずに不労所得の入るのが勝ち組だ、夢はyoutuber、とか、そんなおかしな話は無い、とあえて断言しておく。
前置きが長すぎるのは承知だが、ここまで書いたのでついでに書いてしまうと、この日本劣化の一因は、皆さんもたぶん気づいておられる通り、派遣会社の中抜きである。 日本は世界で一番、派遣会社…もとい!「ピンハネ会社」が多いという、恥ずかしい現状だ。その中抜き率、いやピンハネ率たるや、一般的に25%、IT業務に至っては40%という恐ろしい割合で、もう何をか言わんやである。 竹中平蔵なんて呼ばずに、【中を抜いて】→【竹 平蔵】と呼ぼうではないか。
と、書けば書くほど、フツフツと怒りが沸き上がってくるので、トイレに行って、冷たい飲み物でも飲んで、怒りを鎮めて次に進もう。冷たい飲み物は体に良くないのだが、怒りで頭がカッカする時には、熱い飲み物だと更にカッカするので、少し頭を冷やしたほうが良いそうだ。(「黒い家」にて貴志祐介・談)
◆現代の3K仕事の一端◆ 仕事の形態もいろいろ変遷してきたが、話に出した3K仕事のまさに現代版ではないか、と思われる業界がある。 それが、今回紹介する「ゴミ屋敷お片付け会社」である。皆さんたぶん、話には聞いておられることと思うが、世の中には「ゴミ屋敷」なる住宅が、そこここに存在する。
筆者も怖いもの見たさというか、見たいような見たくないような、おっかなびっくり及び腰で、たまにニュースで、近所迷惑のゴミ屋敷なるものが登場すると、つい気になって見てしまう。 ただ、ニュースに出るぶんは上っ面だけなので、中がどんなことになっているのか、経験がない限りは、まず想像の埒外だ。 筆者自身も、一時期レビュアーをやっていた時に(もう辞めているが)、家の中にサンプルの小物が尋常でない量溜りはじめ、これは危ない、とばかりに片付け始めてはいるが、まだ完全には片付いていない。 ところが、本格的なゴミ屋敷を見てしまうと、そんな筆者のナンチャッテゴミ屋敷なんて、鼻で笑って消し飛んでしまうぐらい、凄まじい世界だった。
youtubeには、何社かのゴミ屋敷片付け会社のチャンネルがあるが、これに出会ったのは偶然なのか、youtubeの何らかのアルゴリズムで流れてきたものか、とにかく自分で探した訳ではなく、たまたま見かけてクリックしたのが始まりだった。 何社か見た中で、いちばん印象に残ったのは「ゴミ屋敷専門パートナーズ」という会社だ。
このチャンネルを紹介するに当たり、まずは「この一本を」という形で、動画をどれか選ぼうとしたのだ。ところがどれかを見だして「これは凄いから、お勧めはこれにしようか」…ところが、次を見だすとまた「これ、前のより凄いじゃん…」。 また次を見だすと、「あーこれはもっと凄いわ…」と、もうどれを選んで良いか、分からなくなってくるのだ。
あんまり並べても気持ちの良い写真ではないので、2枚貼っておくが、これはレベルMAXに近い住宅だ。上はドアを開けた瞬間の画像、下は連係プレーで半分片付いた部屋の画像だ。 私なんかは、部屋が散らかるというと、雑然と物が散らばった状態を想像するが、実態はそんなものとはまるっきり違った。
何年にも渡って積層状態に固まったゴミの層が、部屋の中でだんだん上へ上へと成長してゆく。その高さの度合に応じて、膝まで、腰まで、胸まで、という風に高さを測定され、面積に応じて<公平に>料金が決まる。
今回紹介する会社では、この自動的に高さと面積に応じて料金が変わる(だけ)というシステムなのだが、これが如何に凄くて良心的な方法なのか、動画を何本か見ていただけば分かると思う。
考えてもみてほしい。部屋にゴミが溜まるとは言っても、住人の性格によって、その内容物が違う。衣類や紙類、CDなんかが増えるのと、食品系の食べ残しや生ゴミ、人間&ペットの糞尿が混じった状態では、その危険度や作業のし易さはまるっきり違うし、業者間での廃棄物の処理費用も違ってくる。 大量に食品系のゴミを数年放置して、腐りきった部屋の片づけ光景は、小さな画面で見ているだけでも、目を背けたくなってしまう。
多くの依頼者は、いろんな片付け会社に声を掛けるが、そのほとんどで、作業してみないとどのぐらいの作業量になるか見当がつかないので、見積もり段階では料金は分からない、と言われるそうだ。 実際それは、そう言いたくなるだろうと思う。それだけに万が一、予想以上の作業量になったとしても、明朗会計で追加料金を一切取らないこの会社が有難がられるのは、理解できる。そして実際の料金は、動画のラストで報告されるが、まさに聞いてビックリである。
貼った写真は、特にひどい状態のものを選んだようにも思えるだろうが、実は意外とどの部屋も、似た重なり方になるような気がする。もちろん、内容物は住人の性格によって違うが、ゴミが溜まる、という点だけ見れば、後は量の問題であり、いずこの部屋も遠からず、完全に夢の島(!)に代わってしまうことは間違いなく、段階に応じてその高さが違う、ということになる。 時々、プロの片付け会社が入っても仰天するような特殊な例もあるが、今回はその件には触れない。
後は願わくばゴミの内容が、紙くず、繊維類など、なるべく水分や腐食成分の少ないものであって、細菌やウジ虫やGや糞尿にまみれている率が少ないことを、祈るだけである。 そして驚くべきことには、多くの住人が、この部屋の中で寝起きしており、たぶん食事も採っている。まずは外から帰ってきたら、玄関ドアを開けて体を横にして、ゴミの中に潜り込んで上によじ登り、何とか部屋の中に入る。
コンビニ弁当容器やペットボトルが散乱…なら良いのだが、ギュッと隙間なく踏み固められており、トイレや風呂はほぼ使えなくなっているので、何らかの容器で用を足す。ある中年女性の部屋などは、風呂場に大量の新聞紙が積み重なっており、その全てがしっとり尿に濡れて固められていた。どういう風にしたらこの状態になるのか、またこうする必然性があるのか?首を捻りながらいろいろ想像を巡らせてみるが、いまだに分からない。 そしてまた、ゴミの山の上で、少しでも平らな場所を探して、座り込んだり睡眠を取り、また起きては仕事に出かけてゆくのだろう。
もう布団などはどこに埋もれているのか、布団を掛ける余裕など無いので、少しでも安定感のある場所を探しては、何とか居場所を確保する。現場を見て、少しだけ平らになって凹んだ場所があると、ああここで寝てたんだな、と推測できる。 そういう場所は、既に天井に頭が着きそうな場合が多いので、蜘蛛の巣が張った照明器具にぶつからないように注意しつつ…何をして過ごすのだろうか…。ゲームか何かが、現実逃避の手段になるのかもしれないが、充電するのも難しいだろう。
これは特殊な例ではなく、レベルMAXに近い部屋では、今、説明した通りの状態で生活している人が多いのだが、これが生活と言えるのかどうか、もうここまで来たら、人間としてどこかの回路が故障している気がする。
それでも、決して安くはない金額を払って、このように清掃を依頼できる人は、まだそれだけ、経済力も判断力も残っているのだ。実際にはそのまま、ゴミ山住人となって息を潜めて生息している人も多い筈だ。 生ゴミと、名状し難い瘴気に包まれて寝起きし、そのまま通勤電車に乗って出勤し、社会人として、一見普通の日々を送っている人も多いのだろうと思うと、何だか空恐ろしくなる。
心配なのは、これを片付ける人達、まさに今回、紹介する会社の人達が、仕事とは言いながら、あの水場の黒カビ、埃、Gの大群と闘う毎日で、健康を害さないか、という事だ。特に水場の大量の黒カビは恐ろしく、彼らはまだ若いので根性でクリーニングをこなしてはいるが、長くあの仕事を続けていると、何らかの影響が出てもおかしくない。 本来はN95マスクと防護服で入るべき現場の筈だが、客商売ということもあり、また軽装のほうが動きやすいこともあって、マスクさえしていない場合も多い。社会的に重要な仕事であるからこそ、現場の人達は体を大切にして貰いたいと思うのは、私だけではないだろう。
多くの時間をゴミ山の上で作業する為、足場が不安定で踏ん張りが効かず、足腰に負担が大きいのも厄介な問題だ。これは年を取るとかなり大きな問題になる筈で、いつもゴミが減ってきて床に足が着くと、「やったー」と喜んでいるのも分かる。
このWEB日誌を読んでおられる皆さんにお願いしたいのは、まずは筆者の選球眼を信頼して頂き、この会社の片付け動画を見ていただくことだ。それぞれ自分なりに、何か感じることがあると思う。 見方としては、ひたすらこの会社のチャンネルを見るもよし、他の同業者のものと見比べるもよしだが、とにかく、この会社のチャンネルは見て貰いたい。カドカワから声がかかって漫画化もされ、今月20日の発売なので、予約受付中。
ゴミ屋敷専門パートナーズ(youtube) https://www.youtube.com/channel/UCmch6_ZUHzNyZk_kpUMfUMg ゴミ屋敷専門パートナーズの現場日報 レベルMAXの人生お片付け https://www.amazon.co.jp/dp/4046846739/
このチャンネルを見ていると、生きて生活するということ、仕事の何たるかを、いろいろ考えさせられる。また、現代社会の病巣が、そこここに口を開けて深淵を覗かせており、どんな人でも、いつそこに引きずり込まれてしまうのか、他人ごとではなく背筋が寒くなる思いさえ抱いてしまう。
ゴミ屋敷問題は、引きこもりやニート問題とも繋がっている。また、労働問題や超高齢化問題とも繋がっており、それらの病巣が「ゴミ屋敷」という形になって、表れているのかもしれない。
もし実際に、ゴミ屋敷問題で悩んでいて、一歩を踏み出せないでいる人がおられたら、迷わずこの会社に連絡して貰うのが良いと思う。彼らは片付けのプロである。恥ずかしいと言うなら、そのままにして逃げてるほうが恥ずかしいので、とにかく動くことだ。
いちばん迷うのは、たぶん料金問題だろうが、この会社は仕事内容の割には、絶対に「安すぎる」と思う。 他人が安易に、料金のことを安請け合いするのも憚られるが、例えば1LDKを片付けるのに、大の男を十数人、二日間確保し、2トントラック何台ぶんか、それであの凄まじい作業量である。
チームプレーと豊富な経験があり、更にyoutubeでの収益や海外リユースなどの加勢があって出来る料金なので、たぶん、ここよりも安心確実で良心的な会社を探すのは難しいだろう。大幅な成長ぶりで、関東、東海、関西の多くをカバーしているが、バブル的な発展ではなく、創業者の仕事に対する姿勢に、人がついて来てこその成長である。
とにかく、何年、何十年にわたる生活のゴミ、滓が、重層的に積み重なったものを解きほぐして雲散霧消して行く様は、まるで人の世のありとあらゆる汚泥と腐敗としがらみを、ほぐしていくようである。
筆者自身、年齢や体力的なことを抜きにして、果たしてこの仕事を自分が出来るだろうか…と自問自答してみたが、どうも自信がない。そんな凄まじい現場の中、常に社長自身が一番汚い大変な場所を、自ら受け持って作業している。 彼の口癖が「やり甲斐しか無い」。だからこそ、人がついてくるのだろう。 筆者も、不用品を片付けるのに、何度か業者を呼んだ事もあるので、今後は是非、この会社の隙間時間にでも依頼したいと思う。
まずは皆さんに、是非このチャンネルの動画を見て頂きたいのだが、たぶん、予想以上のハードな現場なので、体調の悪い時や食事時は外していただいたほうが、安全かもしれない。
youtubeのチャンネルを一つ紹介するのに、えらく長文になってしまったが、それだけ内容が重く強烈なものなのだ。キツいのが苦手な方は、まずは漫画本のほうが、実写ではないだけおススメかもしれない。
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